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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第43章 ”もういいかい”の時間(重いR)


『先生、私の母の墓地、知ってたんですね…』

「亡くなっていることが分かれば特定するのは容易いですよ」
『いえ、ありがとうございます』





『…あの、

先生がここにみんなを呼んだのは…私の話をただ聞いてほしかったからだと思います。

思うところは賛否両論あると思いますけど…まずは私の話を聞いてはくれませんか?』

「それは…もちろん最後まで聞くけど…
せめて今言うことになった理由は欲しいかな」
片岡さんが障らないように苦笑いをしながら聞いた


『昨日、嫌になったんです。
苦しくて、生きるのが辛くて、


でもそれはずっと前からそうだった。
だから今、溢れて止まらないんだ…って先生に言われました。
だから、何か、遺言のつもりでみんなに話します。その方が話すのが楽になれるので…
近くにお母さんもいるから。大丈夫』

そういってお墓を朧げに見つめる




『前置きとして、
私の人生は別に壮絶だったわけじゃないです。ただ重くて気持ち悪いです。それは先に謝っておきます』

そして僕らはその言葉の意味を後々に知ることになった



――

私の家族は、はじめは至って平穏でした。いい役職についている大手会社員の父と、専業主婦の母と、只の女の子だった私。でもその頃の記憶はもう殆どありません。

父は所謂家制度の教えをそれなりに引き継いでいる人でした。(特に継ぐものはありませんけど)そんな父に母は尽くしていた。本当に、忍耐強い人だったと思います。

ある時、保育所の顔見知りの母親から私の英才の無さをバカにされたことがあったそうです。自分の娘だから…母はそのことに酷く傷ついてました。
父も、そろそろ甘やかさない方がいいかもしれないと半ば同意し、彼らの”教育”が始まりました。

とにかくみんながやらせているものはやらせる。強味として秀でたものは論外。全体的に、慢性的に強くさせる。弱音、私語、泣き言は一切許さない。初めは褒めてくれることもあったけど、そのうちそれすらも甘えとして観なされ突き放されるようになりました。


いつの間にか、私の姿は中身のない「お嬢様」になっていた。

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