第8章 返り討ちの時間
そう思った瞬間、室内のはずなのに強い風が吹き、みんなの元にプリントが…荒く、手書きで書かれているのを見ればわかる。
『先生…!』
が、
「おい、あんな先生いたか?」
「おお、なんか顔も変だし関節も微妙に曲がってるし…」
前言撤回。来てくれて嬉しかったけど、ごめんやっぱ教室戻って。烏丸先生に捕らえられ再び先生退場
「あ、プリントあるんで続けて下さーい」
<え? あ…うそ、なんで!? 誰だよ笑い所つぶした奴!! あ…いや、ゴホン。では続けます>
『言質確保…』
<続いてコンクールの表彰発表を行います。第〇回、ピアノアンサンブルコンクール、金賞、二年 本居 佑月さん>
はいといい返事が返り、彼女は壇上へ上っていく。
「え、まだ続くの?もう帰りたい…」
茅野さんが泣き言をいうのをなだめ、皆彼女の演奏を聴く。
率直に言って彼女の演奏は普通だった。私も音楽が好きな身として基礎基本がしっかりしている子だなぁを感心した。確か合唱部か吹奏楽部にいた子だっけ?どっちでもいいか
だが、それは演奏終了後、拍手が起こった後にひっくり返された
「あ。そーだ!
音楽し・か出来ない遊夢先輩の曲も久々に聞きたいなぁ」
「!?」
「こら佑月さん!彼女は今E組ですよ。しばらくコンクールにも出ていない彼女がそう簡単に弾けるわけないでしょう!?」
「あ、そうでしたぁ~無理言っちゃってすいませーん」
こいつ…よく知らないけど多分私に根に持ってる人だ。知らんけど。というかよく話したこともない癖に私を名前呼びするなんて、礼儀がなってない
「早稲田さん大丈夫…」
『はあ、めんどくせえ…(ボソッ』
「え?」
私は黙って壇上に上がる。
「E組の分際で演奏聞かせてもらってるんだから感謝しろよー!」
「こっちはそっちと違って暇じゃないんだからなー」
野次も上がる。
「あ、そのピアノ使っていいよー。どうせもう触る機会なんてないだろうし。私が言い出したことなんで鍵盤の掃除は私がやっときますからーw」
私は椅子に深く腰掛け、軽く鍵盤に指を動かす。よし、動く
さて、私が躾け直してあげますか