第42章 決断の時間
『本気で勝つつもりなんですか』
「当たり前」
準備期間は三日程。その間にチームのコンディションを整える。
「あっちにないウチの強みは?」
「スナイパーが二人いる」
「人数が断然多い」
「力も…総集したらウチの方が強いのかな?」
「後は…」
「トラッパーのひつじちゃんを獲得できたことだね」
『え…私?
トラッパーなら堀部さんとか竹林さんが上手くやれそうな気がしますけど…』
「違う」
静かに呟く堀部さん
「単純な技術者と動ける起動兵は同じようで全く違う。
技術者は時間をかけてでかい罠を作ることはできるが、短時間で複数の罠を広範囲に仕掛けることはできない
お前が十分戦えるってことが一番重要なんだ」
『そんなもんなんですか』
「そんなもんだ」
「俺も、ひつじちゃんの暗殺力は渚君程じゃないけど十分評価してる。この力は本番で絶対に活きる。できるだけ早くは死なせたくないんだけど」
「了解」
「業がそこまで言うなら」
「それにしてもナイフが振れないって結構致命的なんじゃない?狙われたら瞬殺だよ」
『う』
「まーそれは後々考える」
「遊夢が望むなら特注の武器を作ってやれる。確かワイヤー系が得意だったろ」
「そんなことできんのかよ?」
「ベースがあるから武器にちょっと細工をするくらいだ」
あの喧嘩が発端だったとは言え、話し合うみんなはどこか生き生きとしていた。
三月なんて、このまま来なければいいのに…
『んしょ…よいしょ…
あっ』
翌日、戦闘に使うペイント弾の段ボールを運んでいたときのことだった。外の盛り上がった根っこに足を引っかけ、中身を飛ばしてしまった
『(ひー…これ小っちゃいし、失くしたら困るし拾うの大変だよ…)』
なんて泣き言言いつつ大人しく拾い始めると、視界の先に細くて、でもしっかりした綺麗な手が見えた。
あ、彼だ。
なんて手で分かってしまうなんて、私もいい加減認めてしまえたらいいのに、と嘲笑
「手伝うよ」
『あ…りがとうございます』
「はい、多分これで全部」
『……助かりました』
渚さんが元通りになった段ボール箱を手渡そうとするが、私の手前で止められた
『?』
「変なこと聞くけどさ、
カルマ君とデートしたって本当?」
『ッ……!?』