第41章 憎悪の時間
渚さんはそのまま何事もなかったかのように私の手首を掴む。
「ほら、僕も茅野の面会終わったから。帰ろう」
嫌だ…吐き気がする…
『……う…つもり』
「え?」
『どういうつもりかって聞いてるの!!』
限界だったのか公共の場で叫んでしまう
『分からない。貴方が何を考えてるのか。怖い、憎い。
あの言葉が嘘なら最初からそう言ってよ!!
そうだ、期待した私が馬鹿だった!!裏切られていいように使われるだけ!いらないって思われたらすぐ捨てられる!!私のゲームは最初からそうだったはずなのに…
何を夢見てたんだよ……』
地面に落ちるものが、一体何を含んでいるのかわからない。悲しみなのか、怒りなのか…
「遊夢ちゃん…」
『嫌い!みんな大っ嫌い!!みんなが拒絶するって分かってるなら私から切ればいいんだ!!』
憎しみとは、ある種の毒薬なのだろうか。さっきから拙い言葉しか出てこない。
まるで、心だけが子供に退化したみたいだ。
でももういいだろう。彼らに私の自己中心的な罵声を浴びせるのはもうたくさんだ。
鞄を乱雑に掴み、背中を向けた
『……
こんな気分になるなんて…
恋なんてするんじゃなかった』
「!」
はは、最後まで馬鹿だな、私。
それじゃあまるで、
渚さんのことが好きだと伝えているようなものじゃないか
「あーあ、行っちゃったよ」
「…」
「渚君さー、敵がいるって分かっていながら隙ありすぎじゃない?別にあの方法を否定するわけじゃないけど、相手にチャンス与えるなんて、爪が甘すぎ」
「…」
「もしかして邪魔しようとしてた?そうだったらまだ可愛いね。
でも、束縛には注意しなよ。
別に貴方の物じゃない。
遊夢ちゃんはきっとそう言うよ」