第41章 憎悪の時間
殺せんせーから、遊夢ちゃんの方は目覚めたと通達を受けた。廃人状態になる可能性もほぼ0に近いらしい
それを聞いて僕は急いで保健室に向かった。
「(遊夢ちゃん……遊夢ちゃん…)」
正直あの時怖かった。あの触手を見てしまうと、またあの怖い遊夢ちゃんに戻ってしまうんじゃないかって、僕がいない世界の遊夢ちゃんになってしまうんじゃないかって…
けど、僕らでもわかった。あの間、彼女は茅野を助ける為にずっと触手と戦っていた。結果的に彼女にできることはなかったのかもしれないけど、
彼女の意志はここにあった
ああ、早く会って抱き締めてあげたい…
彼女が落ち着くって言ってくれた僕の匂いで安心させてあげたい…
「遊夢ちゃ…」
けど、僕は部屋に入ることができなかった。
カルマ君がいたからだ
瞬時に察知して息を殺す。
遊夢ちゃん…泣いてる…
こっそり扉の隙間から覗くと二人が抱き合っていた。
まただ、心臓が痛い。今度はズキズキと早く、強い感覚で。
どうして、
ねえ、どうして。
僕じゃ駄目なの?
確かにあんなことをしてしまった自分にも責任はあると思ってる。でも……
ああ嫌だ。取られたくない。
ずっと僕だけの遊夢ちゃんであってほしいのに…