第41章 憎悪の時間
私が起きたのは、翌日だった。
「おはよ」
見上げると赤羽さんがいた。この人は私が起きるときに居合わせるのが趣味なんだろうか
「殺せんせーが後で精密な検査をするって。ここまで介抱してやったんだから感謝してよ?」
といつも通り笑いかける。うなじを触るとやっぱりない。夢を見ていたような気がした。
けど、心の残っている黒い気持ちが、嘘ではないと嘲笑っている気もした。
もう既に心はボロボロだった。
『う……ううう…』
「ん、いいよ。肩かしてあげる」
何も言わずに泣き出した私を赤羽さんは何も聞かずに許してくれた。
何が悲しいのかわからない。
茅野さんに突き放されたことなのか、
渚さんに裏切られたことなのか、
何もかも奪っていく大人たちになのか、
けど今はいいだろう。
感傷的な本能で泣いても。
一人、部屋で私は赤羽さんの肩を濡らしていた