第41章 憎悪の時間

そんな…まだ…

コレが生きていたなんて……


「しくじりました…まだ細胞が完全に取り除けていなかったとは…加えて十分な成長期間を与えてしまった…ぐっ」

「最っ高のコンディションだよ。


全身が敏感になってるの、今ならどんな隙も見逃さない」


お願い、止まって！！！止まれ止まれ止まれ止まれ…！！！


自分の中に渦巻く憎悪を制御できない…

これが…憎しみなの…？



暗くて…寂しくて…誰にも声が届かなくて……


誰か…ねえ誰か…


「やめろ茅野！！」

『！』

「こんなの違う！！僕も学習したんだ！自分を犠牲にして殺したって何も残らないって…
現に遊夢ちゃんだって巻き込んで！！」


渚さん…



ああ。言いたい。伝えたい…



こんな暗くて寂しい彼女を助けてあげてって…





「心配しなくていいよ。ユーミンはちゃんと生きて返すから。最悪、２割の確率で廃人状態になるだけ。

それに勘違いしないで、自分を犠牲にするつもりなんてないよ、渚。





ただこいつを、殺すだけ。






そうと決めたら一直線なんだから！！」







みんなすら憎んでしまいそうで…


”助けて”って…









「死んで！死んで！死んでッ！！」





茅野さんの意識が、少しづつ先生に集中していく…少しだけ…指が動いた…

少なからず共鳴には操る本人の意識がかかわっているようだ。


お願い…少しでも止める力を……





「ねえ、つまらない真似しないでくれる？」


手を伸ばした瞬間、触手が断たれてしまった。それすらも敏感になってるの？


『ｙ…ｄらｍ…だよ…』


「チッ…対触手用の粘液…
面倒くさいなあ…

あとは自分で殺れるからもうあんたはいらない」




そう言われて炎の外に吹っ飛ばされた。背中が痛い


「友達だと思った？
ありがとう。



別に私は何とも思ってないけどね。



信頼なんてない。ただいいカモだと思ったから利用しただけ」



私の中で何かが砕ける音がした…ガラスのような脆い何かが
自分自身に抗った分だけ、自分の体力を削ってしまった。もう自分も、触手も動ける気がしない。

朧げな視界で見えた最後の景色は…




渚さんが茅野さんに口づけているときだった












『…………え？』