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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第40章 復讐の時間


『昔々、あるところに至って平均的なお爺さんとお婆さんがいました。お婆さんがいつも通り川で洗濯をしていると…』


「桃です」


「「「「…(汗」」」」

「電波エコーで測定しました。この中に胎児が育っているようなの」

お婆さん(神崎さん)が続ける

『お爺さんの眼の色が変わりました。一瞬にしてこの桃の価値を悟ったからです』


「こりゃあすげえ!とんだ珍品だぞ!!マスコミが飛びつかないわけがねえ…!見世物にすれば俺は一生大金持ちだ!!」

一週間で建付けだができる演技になったお爺さん(杉野さん)




「離婚届けです」


『お婆さんは別れることを迷っていました。ですが子供の人権を無視するようなお爺さんの非道な言葉、「俺たち」ではなく「俺」という言葉、お婆さんの心は今決まりました。
30年の結婚生活で、二人の間にできた溝はまるで洗濯に行った川のよう。二人の空間の息苦しさは山野芝を燃やして出たCO2のよう』


「この桃は俺のもんだ。夫婦間の共有は世帯主のわしが決める!」


「弁護士です」

「奥様の代理人を務めさせて頂きます。以後の話し我々を通していただくよう」

「桃の件ですが、婚姻関係はとうの昔にされており、財産分与の基準日は過ぎたと考えられます。モラハラの慰謝料含むと桃一つでは足りませんよ?」


『お婆さんは30年にわたる暴言、暴力、生活費も前から入れておらず証拠もすべて揃っていました。お爺さんに裁判で勝ち目はありませんでした。
恫喝で雇った村の男たちは警察に連れていかれました。




お婆さんは桃をもって帰りました。まるで命が洗濯されたような晴れやかな気持ち。お婆さんの人生は桃と共に今、始まったのです。』


「わっせ、わっせ」

『邪悪なのは財産欲にまみれたお爺さんだった。鬼ヶ島は私たちニンゲンの心の中にあるのかもしれません。



生まれてくる桃の子にもいつしか、鬼が宿るのでしょうか』




「ヌルフフフ……」















「「「「重いわ!!!」」」」

「食欲なくなっちまったじゃねえか!!」

劇は無事?に終わった。クラスは冷や汗だが狭間さんは満足げだ。うん、なんか見たよ。この光景、家で。いろんな意味で怖いよ

『なんで私ナレーションに選抜されたんですか…』
「あの狂気じみた早稲田さん意外と好きだったんだよね」
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