第38章 目まぐるしき文化祭の時間
「続いてはE組の有志発表です」
やる気のない司会者の声と同時にステージへ踏み入れた。
スポットの中、一旦客席を見渡してみる。
色んな人がいた。
プログラムを片手に座る来客、客席を休憩室か何かだと勘違いしてスマホをいじる人、これを見せしめか何かだと思って面白がって野次を飛ばす生徒、監視員として配置された疲れた顔した教師
そして、E組
心臓の音が収まらない。ぶっちゃけ私もどういうキャラで行ったらいいのか分からなかった。こんなフリフリのパニエ着てるしやっぱり王道の可愛いアイドル?それとも普通にMineのペースで言っていいの?それともギャップを狙ってクールに??
「あの…」
私が余りにも喋らないので司会者に声をかけられた
と、とにかく何か言わなきゃ…まず普通に挨拶だよな…
『こ、こんにちはーっ!!!E組の遊夢って言いマしゅ』
思いっきり噛んだ。クスクスと笑い声がどんどん広がっていく。今多分耳まで真っ赤だと思う。無理だ、寧ろ殺してくれ
「遊夢ちゃん、可愛いよー!!」
笑い声の中にちゃんとした言葉が、私の耳にはっきり届いた
渚さんだ
「ドジなところも好きだよーーっ!!」
「頑張れーー!!」
E組の皆が負けじと声を上げてくれる。…皆が頑張ってくれてるのに…私がやらないでどうする
ええい、もう焼けだ!
メーター振り切ってやる!!!
『てへ、ガッチガチで噛んじゃいました!
けど歌はバッチリ決めちゃいますよっ!!みんな付いてきてね!!
貴方の普通の日常を祝って!
”あいまいみーまいん☆”!!』
ー人並の日常です 何も考えないで済む方へ
恋なんて無縁なしょっぱい人生です 優柔不断な癖にー
皆がペンライトを振ってくれる…案の定前でキレキレな不破さんと竹林さんはよく目立つ
ー腹が減っては戦はできぬというけどさ
おやつの時間もあっていいじゃナイ?ー
そうだ、いつも通りのコンディションで、パフォーマンスで、
Mineはいつだってその眼中にある人達を夢中にさせて来た。私が出来ないわけがない。
このステージで、
全員ファンにしてやる
ー見つけたい キミのhappiness
見つめたい キミのeveryday
私がキミを彩れたら…なんてね
背けてたのは自分だった
曖昧な答えで言い訳