第38章 目まぐるしき文化祭の時間
いつの間にか、渚さんはまた女装をすることになって…
「はぁ……この姿もう遊夢ちゃんに見られたくなかったのに…」
『あの、私の借ります?』
「……///」
「それならちょっと役得かも、みたい顔すんな」
珍しく渚さんが突っ込まれるシーンであった
そしてユウジさんの手を引いて裏へ行ってしまった。まあ女装してるところなんて必要以上に見られたくないだろう
南の島といえばあの時の殺し屋さん達(勿論ロヴロさんも)いらっしゃってくれた。うん、嬉しいんだけど
皆さん中学校の文化祭に何を求めているんですか?
来てるみんなの顔が保護者のような気がしてならなかった
そして二日目…
『な、何これ…』
ボロい校舎の前には長蛇の列が…
どうやらユウジさんがSNSで拡散してくれたらしくて、山の恵みを使っていることもあり、すぐに客足が付いた。昨日来れた人達は本当にラッキーだったかもしれない
その日はもう大忙し。ひっきりなしに来るオーダー。
先生がこれ以上は山の生態系を崩しかねないと判断して、午前中の内に「売り切れ」の看板を出すこととなった
「完売!!」
「よっしゃー!!!」
皆看板の前でやり切ったことを喜びあっていた。私も、今を楽しめたかな…?
「向こうが大成功だったから思いの外みんなステージの方来てくれたね」
「これはいい想定外だったな」
『ふ、不破さん…』
「あ、早稲田さん準備できた?」
『無理無理無理無理無理無理無理mrmrmr…』
「もー、そんなバッチリセット着ておいて何今更怖じ気づいてんの…」
『だって顔出しって…』
「大丈夫、仮にブーイングが飛んでも僕達が盛り上げる」
プリントTシャツにサイリウムをシャキンと見せつけこのドヤ顔である。いかにもヲタクって感じのファッションだ
『どこで身に付けたんですかその技術…』
「僕は元から」
「私は竹林に教わった。”普通じゃない”は大体熟知してるよ」
もうやるしかないのか…と肩を落とす。
「大丈夫、いっちばん可愛い早稲田さん見せてよ!みんな待ってるからね」
ポンと叩いてステージ裏を出て行った。
みんな…
そうだよね貶す奴も、私に暴力を振るう奴も世の中に沢山いるけど…
私には、E組の皆がいる
『よし、”行ってくる”よ。Mine』