第38章 目まぐるしき文化祭の時間
『か、かかか神崎さん…』
「どうしたの?早稲田さん」
『さ、さっきオーダーの「どんぐりつけ麺」渡しに行ったらあの人達になんかじろじろ見られて…』
「ああ、……まだ懲りてないみたいね」
『?』
「あの人達所謂、”勝ち組”?みたいな人を毛嫌いしてるんですって。早稲田さんは立ち振る舞いとかがお嬢様みたいだったから勘違いしたんじゃない?」
『はた迷惑…』
肩を落としつつ、裏から反応を覗いてみると…
「う、うめぇ…」
不良たちは何故か涙していた。まるで飢餓の子供みたいに。大成功!と裏方の皆とハイタッチした
「村松にしては奇跡な味だ。不味さが売りのキャラが崩れる」
「うるせぇ!ってかイトナお前も働け!」
「村松君も満更でもない癖にね」
茅野さんがきししと笑った
「お、おい、お前等不味いって言え!まずいって!」
「あら、お口に合わなかった?」
そこへヒールを鳴らして近寄るイリーナ先生
「いやいや、すげぇ美味しいです!!」
コロッと態度が変わった。流石先生
「そう?じゃあこの”柿とビワのゼリー”なんてオススメよ。私の肌丁度同じ柔らかさなの」
「「「食うっス!!」」」
「寧ろ全部食べてくれたら先生嬉しいなぁ。
駅前にあるわよ、A、T、M♡」
黙って山を駆け下りて行った
『すご…イリーナ先生売りにしたら営業成績伸びそう…』
「駄目だよ。大人だし、食堂をキャバクラにしたくないもん」
「おーい、渚ーいるかー?」
と、また懐かしいメンツが。わかばパークの皆さんだ。叶君もいる。桜ちゃんも元気そうでよかった
『わざわざ来てくれたの?ありがとうございます』
「べ、別にみんな行くって言うから…」
「お姉ちゃん久しぶりー」
「ご飯食べに来たよー」
『さあさあ、入って山道で疲れたでしょう?』
「おいしー!!」
「麺ちゅるちゅる~!」
ああ、やっぱり子供は全世界の癒しだと思う。現実も忘れ口角が緩みっぱなしだ
「おーい渚ちゃーん、遊びに来たぜー!!」
その声に渚さんの身体がぴしりと固まった。ユウジさん。南の島で渚さんにナンパをしてきた張本人だ。というかあの時身分証なんて持ってなかったしどうやってこの場所を突き止めたんだろう…考えるとちょっとゾッとする
『渚さん…終わったら一度興信所に連絡して見るといいかもしれません』
「やっぱり…?」
