第37章 伸びる影の時間
「僅かな時間でいかに気絶させられるかを渚君にはしっかり教え込んでいますから。
まず唇により相手の動きを拘束し、そして呼吸の隙間に舌を潜り込ませることは特に注意させ、相手の感度を着実に刺激し…」
『いやあああああああっ!!!!////
嫌ッ嫌ッいやあああ!!!////』
「び、ビッチ先生もうやめたげて!!(汗」
「早稲田さんがオーバーヒートして暴走してるから!!」
「何よ、まだこれからなのに」
『そ、そこまで詳しく説明しなくていいです!///』
「こんな乙女チックなお母さん初めて見た…」
やっぱりイリーナ先生はイリーナ先生だった。
うう…あの人のやつ生々しいんだよな…
破廉恥にもなんか想像してしまった…
もし本当に、渚さんの想いに応える時が来るとしたら…それを受けるのは…わ、私!?///いやいや、渚さんはあくまでも理性のある人だから……
…本当にそうなのか?あの夏の甘酸っぱい経験をしても尚そんなことが言えるのか!?あの熱を帯びた瞳をした彼に、あの時イエスなんて言ってしまったら私は今頃……
『ああああああああ!!///』
「だ、誰か止めてぇ!!」
そして私の順番が回って来た
「君で最後ですか。教室の方が少し騒がしかった気がしましたが…」
『何もありません。気にしないでクダサイ』
真顔のかたことで反応すると「おやおやぁ?」と嫌な笑い方をするので早く本題に入る
「――『高校卒業後の進路』…留学、ですか。割と素直に書いてますね」
『本当の事でも先生は危害を加えないので、嘘つく必要もないかと。音楽の事ももっと知りたいし、新しい人に会ってみたい。私の将来は、ずっとMineと一緒に歩んでいくって決めてるんです』
私にとってMineはなりたい私の姿だった。清楚で真面目な正反対に位置するように作り上げた。それで何かが変われる気がしたから。でも、自分をちゃんと見つけ出してから、私は遊夢の私とMineの私にちゃんと向き合うことを誓った
二人なら、きっと楽しい。
でも、
『このまま、親に出せません…答えは分かり切っているので』
「反対している訳ですか」
『……手放すのが怖いから自分の手の内に収めておきたいんだと思います。
親は……”都合のいい”嫁になって欲しいそうです』