第36章 古傷の時間
「あーもう!好きにすればいいわ!!男子は日ごろの性欲を!女子は私の美貌への嫉妬を!思う存分性的な暴力で発散すればいいじゃない!!」
「ビッチ先生、俺等を何だと思ってんだよ…(汗」
『先生、私…先生の覚悟を知らなかったかもしれません』
私が投げかかるとピタリと動きを止めた
『若い内にその道を選んだ覚悟が…』
「どういう、意味」
『私の勝手な憶測ですけど、イリーナ先生が他人を殺した分だけ、先生が悲しんだんだと思います』
「ハッ…私が殺した人に対して?」
『違う。自分の受けた過去を上書きする為に、自分自身を殺し続けたって事ですよ。
先生は、それを分かっていて選択したんだろうなって思うと…』
「……」
『先生が今後どういう道を選ぶかはきっと私には止める権利はないと思います。ただ、私の願望としては…
寂しいです。イリーナ先生がいない教室は。
私の中ではあの教室で誰かか欠ける…なんてことは駄目なんです、多分』
「戻って来てよ、ビッチ先生」
「私達全然怒ってないから」
「…」
「そう言う事だ。
これでは余り格好がつかんがな」
そう言うと烏丸先生は跪いて、死神から奪った一輪のバラを渡す。不器用な、彼なりのやり方だ。
イリーナ先生は静かに微笑んだ。今まで見たことない綺麗な笑顔だった