第34章 いわし雲の体育祭の時間
そして迎えた当日。私達のクラスは”いつも通り”自身のスキルを大いに生かし種目を乗り切っていた
特に木村さんは自慢の脚力で持久走ではぶっちぎりの一位
「うわああああ!かっこいい木村君!!もっと笑いながら走って!そう、ジャスティス!!」
観客席で黄色い物体が興奮気味にシャッターを切りまくる。これじゃ誰が親なのかわかりゃしない
そして驚いたのが原さん。パン食い競争のあの流れるようなキャッチング…
「飲み物よ、パンは」
「「「「かっけえ…」」」」
顔の横にきらりと星が輝いていたのが印象的だった。
私の借り物競争も多少の嫌がらせはありつつも難なくクリア。
フッ、甘い。お題なんて早い者勝ちなんだから小細工なんて意味ないのよ。
「貧乳のくせに…」
「『(あ?)』」
二位の旗で顔を歪ませてる本校舎の奴には拾ってきた茅野さん(ツインテール)とガン飛ばしてやったよ☆
そして例の対決の時間は着々と近づいていた。緊張しているのか磯貝さんが浮かない顔をしている
『あの人が余計なことを言うから変なプレッシャーになってますね…』
「逆になんで早稲田さんは平気なんだ…(汗
勿論端から全力で殺るつもりではあるけど…あの生徒会長と渡り合えるような実力なんて…」
「いいえ。
確かに個人としての実力は浅野君には届かないかもしれません。ですが、仲間の大切さを知っている君なら…それを率いて戦う力はあの浅野君よりも上回る」
先生が磯貝さんに諭した
『言いたいことはもう全部先生が言ってくれました。彼はそれを持ってないって分かってるから互角に戦えるって自信があるんです。
さあ、支配力に執着しているあの餓鬼に一発ぎゃふんと言わせてやって下さい!』
背中を叩いてみんなを送り出した。
応援しようとフィールドに見やった女子は全員目を見開く。それもその筈、浅野生徒会長率いるA組はキャプテンを除いて殆どが強靭な身体を持った外人だったからだ
「ほ、ほんとに中学生…?」
『それ以前にここの生徒かどうかも怪しいでしょ…』
ひえ、と細い悲鳴を上げる茅野さん。だが今この場で不正だと抗議する余地はない。このまま試合は続行するようだ。周囲の人がもう勝ちは決まりだと冷ややかな目でクスクスと笑っている。
『(それが貴方のやり方だって言うなら…私は本当に失望しますよ…
浅野さん?)』
