第7章 プロの時間
「お願いがあるの。1度本場のベトナムコーヒーを飲んでみたくて…私が英語を教えてる間に、買って来て下さらない?」
「お安いご用です。ベトナムに良い店を知ってますから」
彼女が上目遣いをすると早速先生は行動にかかる。その時、昼休み終了のチャイムが鳴った。あれだけチョロい先生を見たのは初めてだ。みんなあれだけ射撃とか頑張っているのに…
ちょっと悔しかった
『私も…あれだけ胸があれば貢献はできたんでしょうか…?』
「うん、気持ちは分かるけど生徒に手を出すほどせんせーはだらしなくないと思う…」
小声で茅野さんとお話しした
「…で、えーと、イリーナ…先生? 授業始まるし、教室戻ります?」
磯貝さんが戸惑い気味に聞くが返って来たのはジロリとした鋭い目
「授業? …ああ、各自適当に自習でもしてなさい」
そしてライターでタバコに火をつける。みんなそのギャップに仰天する
「それと、ファーストネームで気安く呼ぶのやめてくれる? あのタコの前以外では先生を演じるつもりも無いし、『イェラビッチお姉様』と呼びなさい」
そして高飛車。
「…で、どーすんの? ビッチねえさん」
「略すな!!」
流石煽りの悪魔。場所を選ばない。それに貴方も外人なのにツッコミできるんだ…
「あんた殺し屋なんでしょ? クラス総がかりで殺せないモンスター、ビッチねえさん1人で殺れんの?」
「フン…ガキが。大人にはね。大人の殺り方があるのよ。潮田渚ってあんたよね?」
「?」
彼女はつかつかと彼に近寄り、躊躇なく唇をねじ込んだ
「なっ!!」
『うっ!!』
私は無理やりすぎる光景に思わず目を反らした
最終的に渚さんは酸欠でぐったり
『あわわ…』
「後で教員室にいらっしゃい。あんたが調べた奴の情報、聞いてみたいわ
ま…強制的に話させる方法なんていくらでもあるけどね」
ひー!!!もうやめてあげて…!!
「その他にも!! 有力な情報持ってる子は話しに来なさい! 良い事してあげるわよ。女子にはオトコだって貸してあげるし
技術も人脈も全て有るのがプロの仕事よ。ガキは外野でおとなしく拝んでなさい」
背後から来る固そうな男三人衆を背に彼女は嘲笑気味に話す
「あと、少しでも私の暗殺の邪魔をしたら、殺すわよ」
これがプロの腕。これが「殺す」という言葉の重み…!