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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第31章 残夏の疑惑の時間


『はぁ、今日は随分遅くなっちゃったな…』

塾の帰り道、辺りはもう暗く、街灯ももう既に灯りが灯っていた。街を抜けた先の大きな灯りなどないこの道はどこか薄気味悪い。とにかく不審者だけは気を付けなくちゃ



そう言えば、例のニセ先生の件は一体どうなったのだろう。今後の先生の教育活動の為にも見つかってるといいけど…

そう思った時、道の端で人影を見つけた。頭は項垂れて、座り込んでいる。誰なのかは街灯の逆光で見えなかったが身長からして少年な気がした
何の事情があるのか分からないが、暗い中一人でいるのは危険だ。せめて警察に届け出なければ




『ちょっと、君…』


声をかけようと近寄った。
しかし、そのきらりと光る銀髪には見覚えがあった











『堀部、……さん…………?』

少年はようやく顔を上げた。心なしか顔がやつれているようにも見える。しかし、その顔は一瞬で警戒に変わった


「誰だ」
どうやら覚えていないようだ。まあ、彼にとって標的は先生だけなのだからそれは当然に近いのだけれど

『……椚丘中学校、3年E組30番、早稲田遊夢。』
ここまで言えば私が何者なのか少しは分かるだろう

「奴の手先か」

『こんな格好で追う人がいると思いますか?まあ、相手を油断させる事だけには役立つでしょうね』

相変わらずの怖い面で圧もかけながら話してくるが、私はそれよりも疑問の方が強かった




『そんなことより、何故貴方がこんな夜道にいるんですか。親の姿は見当たりませんけど』

「…」

『もしかして、捨てられたんですか?』






それを聞いた瞬間、私の足は宙に浮いた。首の絞められる苦しさは後からだった


『か…かは…』

「違う……違う違う違うチガウチガウ


俺は強い。一番に。
それを証明する為に、早く兄を倒さなくちゃいけないのに……またしても……!!!」





どうみても取り乱している。図星であると同時についさっきまで先生と戦闘をしていたようだ

「俺はお前等とは違う。実験体として捨てられたお前とはずっと……」





言葉はそこで途切れた。見下ろすと彼は目を見開いて驚いていた


『?』









「お前………何故怖がらない…」
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