• テキストサイズ

私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第30章 それぞれの暗殺の時間


「シルバーウィークに皆さんに集まってもらったのは他では在りません!」


そう教卓の前で宣言するのは茅野さん。なんだかいつもより張り切っている…




「暗殺するの?」


察しの良い渚さんがきくと大きく頷く

「簡単に言えば大きなプリンを作って釣るの!


名付けて、”巨大プリン暗殺計画!”」

ネーミングセンスは相変わらずだった。

「この間殺せんせーと話した時に聞いたんだ、『本当なら自分の背よりも高い大きなプリンも食べてみたい』って。
この話にせんせーが乗らないわけない!可能性はあると思うんだよね」
張り出した計画を見て見ると…


『え…このサイズ…本当にできるんですか?』

「あったり前!私の独学で調べた計算に狂いはないよ!材料も前から烏丸先生に頼んで準備済み」

自信満々に言う彼女に皆がお互いに顔を見合わせる




「まあ、やってみればいいんじゃないか?」

苦笑いをしながら賛同した磯貝さん

「確かに、ね…」

「ちょっとやってみたいって気はあるかも…」



「じゃあ、調理開始!」

という訳で始まったおかしな暗殺計画。
勿論指揮を執るのは茅野さん



「同じ味だと飽きちゃうから、途中で別の味も混ぜてみたいんだ。あ、後普通の方法で固めると型を外した時に崩れちゃうから…」



『ここまで計算尽くしていたとは…プリンの執着、恐ろしい』

「早稲田さん、これ運ぼ」

私は生地を型に流していく班。いや、もう運ぶのもバケツとかのレベルなんだけどね…

『重っ…』

「明日筋肉痛になりそう…」
「プリンで筋肉痛は笑えないよ…」


「にしてもこれを買うのを了承した烏丸先生って…」
「頷くの渋っただろうなぁ」








そして皆の苦労の末、プリンは完成した


『できた…本当にできちゃった…』

自分の背丈の何倍もある高さの洋菓子。甘いバニラエッセンスのかおりとプルプルと弾力のあるあの独特なボディ。

思わず触りたくなってしまう程の美しさだ。

いつだか絵本で見たあの大きなスポンジケーキもやればできてしまうのだろうか、試しにほほをつねってみたが普通に痛かった

『はぅ…』

力抜けた、恍惚なため息を吐いてしまった


「あ、写真は撮っていいけどSNSに上げるのは国家秘密上禁止ね」

まあそうか。残念、バズると思ったのに
/ 409ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp