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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第29章 抜けない熱はそのままにして


「希望を持たない者に先生はやってきません!さあ、夢の舞踏会に参りましょう!」

『もう先生って言ってんじゃん…』


てか舞踏会って…

「なんでその衣装持ってんの殺せんせー…」
渚さんが呆れながら聞いた
「余興用です。他にもアフロ、ハゲズラなんかもありますよ。勿論女性用の浴衣も」

そう言ってさっと取り出した浴衣…の全貌も見えぬまま先生に早着替えさせられた

「おお~」
「やっぱ新鮮だねぇ」

裾を見ると水色の背景に金魚が泳いでる

「後はこれを。先日の旅行で買ってきました」

そして左の頭に止めたのはハイビスカスの花飾り
「なんか…国のコンセプトがバラバラだね…」
「にゅやっ!!に、似合っていれば全て解決!!(汗」


「でも、格好が一丁前でももうお祭り終わっちゃったよ?」


矢田さんの質問にニヤリと笑う先生


「いやいや、まだとっておきが残ってますよ」

















「何なんだろうね?急に校舎に集合だって」
「さあ?」

久振りの山道を登りながらみんな不思議そうな顔をしている

動かない足を引っ張ってようやくたどり着いた先には…



水の入ったバケツやライターなどが転がっている

『?』

「先生の余興セットにはこんなものもあるんですよ」

じゃらりと出したのは、スーパーなどで売っている花火セットだった

「「「おお!!」」」

「足しにはならないかもしれませんがこれで最後の夏を楽しみましょう!


ただし!山火事になる危険性もあるのでやるのは校庭以内、先生の見える距離で!!」

「「「「(やはりキチンだ!!!)」」」」





こうして学校に夏休み最後の灯がともった


「線香花火なんて久しぶり!」
「わあ~綺麗だね!」


嬉しかった。先生が私一人の為にこの催しをしてくれたことが、みんなが私を祭りの中で探してくれたことが


「?殺せんせー、それなに?」
「ああ、少し前から沢で集めておいたものですよ」



先生が持ってきたツボの蓋を開けると、星たちが空へ飛び立った

「もしかして蛍!?」

「流石倉橋さん。プールの近くに何匹か寄っていたのを見かけたので蜜をためておいて置いたんです。蛍の命は短いですがこの時間を鮮やかに色どってくれることでしょう」


『蛍は亡くなった人の生まれ変わり…』
私の手の甲に止まった蛍を見てそう呟いた
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