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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第29章 抜けない熱はそのままにして


行く当てもなく、私は駅の近くの路地裏に座り込んだ。


もう走り疲れて暫くは動けそうにない。




儚く散るような夏だった。後悔はしていない。生まれて初めて、親の言いつけを破ったんだもの。










けど…


―――
「じゃあ、ユーミンね!」

「ひつじちゃん助かった、迫真の演技だったよ」

「挙句の果てにはそれが自分のテリトリーだとか言い出して…!





ふざけるなよ!!!!!!」
―――



『みんなと花火…見たかったなぁ…』



私の足元に一粒の雫が落ちた


































「だーれと一緒に見たかったって?」





顔を上げるとセンター分けの金髪に狐のような笑い方をした少女が私の顔を覗き込んだ

『な、中村さん…』

「見つけたー皆に連絡してー」

その後ろにはツインテールの矢田さんと背筋のいい神崎さんも

「早稲田さんどこ行ってたの?ずっと見なかったけど」

「わ、体育着でここまで来たの?」



友達に会えた。

それだけでもう私の涙腺は限界を迎えていた



『う………うわあああああああああ!!』

「な、泣いた!?」
「ほんとにどうしたん!?」








「遊夢ちゃん!」

暫くしたらみんなこの場に駆けつけてきてくれた。勿論先生も

「良かった、来てないのかと思った…」

『…………いいえ、今来ました…』(ぶすっ

「あ…(汗」

「察してやれよ渚ー」
「容量悪いぞ渚ー」
「小さいぞ渚ー」

「今明らかにいらない言葉あったよね!!?」
みんなのいつもの調子を見ているともう涙と笑みでぐちゃぐちゃになってしまう

「早稲田さん、随分遅い参拝ですね」

『行こうと思ってたんですけど…親に反対されてしまって…でも行きたかった。みんなと一緒に最後を過ごしたかった。だから、初めて言いつけ破ってきちゃいました』

先生の言葉にもはやすがすがしささえ感じた私ははっきり言った。やってやった感で私はいっぱいだった


『でも…もう花火終わっちゃいましたよね…いくら何でもこれじゃ…』





「おやおや可哀そうなシンデレラ」
『!?』

視線を上げると、なんか…某ディズニーアニメーションの魔法使いの格好をした先生が…
周囲に立つみんなも冷汗をかきながら見ている
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