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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第29章 抜けない熱はそのままにして


『そんな…夕食ならもう事前に作ってあります。それに、私一学期頑張ったんです!頑張ったから順位だって上がりましたし、A組しか行けない夏季講習にみんなで行けたんです!!』

「確かに飛躍的な成長と言ってもいい。だが、それなら元からその力を発揮できたって事だよなぁ?

今まで手を抜いていたってことか!?」

『それは…』

言えない。家庭状況に失望し自分の精神に異常をきたし、Mineに成り代わって堕ちて行ったことなんて


「俺が何を言ってるか分かるか?




お前の向上は俺の教育のおかげなんだよ。恐怖で身体を鞭打って進ませたまでの事。俺の教育理論は正しかったんだよ」




は?





「そもそもお前は嫁の立場の成り代わりなんだよ。何度言えば分かる、あいつが死んだからそれが移動しただけだ。美咲もずっとそれをやってた筈なんだ


なのにあいつは……俺が失敗したからって急に自分の正義を押し付けやがって…」



怒り狂った父の足は私の腹に入る。数センチだけ、身体が浮いた



「妻は夫の服従者なんだよ。祭りに浮かれて遊びに行く嫁がどこにいる。分かったらさっさと部屋に戻れ」




また絶望の沼に突き落とされて、分かった。


私は渚さんの声が好き。

あの優しくて、包み込んでくれるような声調が。それぐらいに支えられてた。


あいつとは違う。あんな身も腐るような反吐を吐くような言葉はもううんざりしている。けど、反逆する術も持っていない。

このことを話せば…みんな助けてくれるのな…?


きっとそうだ。けど、その手前で、何も知らないみんなを嫌な気持ちにさせたくない



『(会いたいなぁ…)』

泥だらけの玄関に横たわりながら、薄れゆく意識の中で私は呑気なことを呟いた。

それが今の私の最大にして些細な願いだった
























8時45分

私は部屋の自室で遠くから見える打ち上げ花火をぼーっと眺めていた

『(今…みんな何してるのかな…?みんなも同じ、この花火を見つめながら…
中村さんと原さんは…がっつ気がいいから屋台全巡りしてそう…
茅野さんは甘い物が好きだから両手にりんご飴やら綿あめやらいっぱい手に抱えて…渚さんと赤羽さんと回ってるのかな?
そう言えば赤羽さんが祭りとかに行くイメージないかも…何してるんだろ…

先生は…)』
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