第29章 抜けない熱はそのままにして
なんやかんやで本日は夏休み最終日
私は今日も机に向かってペンを走らせていた。しかし
『あー……駄目だ…』
あの時の事が鮮明に頭の中を邪魔してくるから集中はすぐに途切れてしまう
『はあ…明日からどうやって接したらいいのよ…』
心の中でうずく熱はいつの間にか全身を駆け巡り、くらくらしそうだ
『このままじゃ恋に炙り殺される…クーラーつけよう…』
リモコンをかざすとピッと機械音と共に冷たい空気が部屋にい流れ込む
『は~…』
やはり暑い夏には冷たいものに限る
「にゅやぁ…やはり夏は文明の利器が最高です…」
『うわっ!!』
何処からか声がすると思ったら背後のベッドに先生が溶けかかっている
『先生なんで私の部屋にいるんですか!!』
というか窓も閉めてたんだけど…(汗
先生はぐったりしたまま「夏祭り!椚丘駅前に7時集合!!」と書かれているパネルを出した
『夏祭り…?』
「中学生最後の夏の思い出にこれを飾りたくてですね。しかし意外と予定が入っている者が多くて…」
『だから一人一人に飛び回って直談判してきた、と…(汗』
「いくらマッハ20でも熱には勝てません…」
全くこの先生は…生徒の為に本気なのは分かるが限度が過ぎて突っ込むのも疲れる
「行きましょうよぉ!これで誰も来なかったら先生自殺しますから!!!」
『なら来ない方がいいのでは?』
虫を見るような目で先生を見下してたら泣き付かれた。なんかデジャヴだ
しかし、夏祭りか……
渚さんとまた再会してしまう可能性はあるけど、ぶっちゃけ行きたいという希望はある。初めてできた沢山の友達と、思い出を作りたい
『………多分…いけると思います』
「本当ですかっ!?」
お金、いくら持っていけば足りるかな…?あ、でも浴衣持ってないから別の服着て行かなきゃ…
珍しく私は心を弾ませながらその時を待った
待ち合わせの時間に間に合うようにゆとりを持って家を出ようとしたその時だった
「おい」
一番嫌な奴の声が私を止めた
「どこへ行く」
『え、あ…あの、友達に誘われて夏祭りへ…』
ゴッ
『あ”っ…』
「許されると思ってるのか?」