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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第29章 抜けない熱はそのままにして


<遊夢、いいこと。異性と関係を持つならきちんと将来を見据えてからにしなさい。相手の家柄を考慮に入れるのよ。周りに流されて遊びで付き合ったなんてろくな印象持たれないんだから>




そんな切実な思いはかつての言葉のフィードバックによってかき消された。



将来。



きっと私自身に渚さんと将来を歩む権利なんてない。中学生の時点で子供が産めない人なんてどう思われるだろうか。




それに、まだ大人でない渚さんにそんな選択をさせたくない





『………その、



考えさせてください…』

私は半ば諦めの感情で呟いた

「そっか…急に言い出したことだもんね。返事、急いじゃってごめんね」


こうやって私はまた選択という壁から逃げている。


ずっとずっと、そうやって負け犬のまま生きているから、苦しいのに。自分で分かっている癖に行動しないバカだ


「でも、アプローチはしてもいい?」

『え?』

急に別の話へ飛んだと思いきやさっきの続きだった

「誰かに取られるのは…嫌だから」


少し照れながら私のワンピースの裾を掴む渚さん。一瞬だけキュンと来た。さっきまであんな強気だったのに何故女子より可愛いんだくそ


『わ、私の思考を止めない範囲で…』
そう返事をするとぱあっと顔を輝かせる

じゃあ早速と言わんばかりに私を抱き締めた
「遊夢ちゃん…好き」
言葉が思いつかなかったのか、あまりにもベタな言葉で愛を伝えられた
少し苦笑いしていると、正面を向き直されて
「まだ付き合ってないのにキスしたくないからさ、





早く僕に堕ちてね。遊夢ちゃん?」

私を見つめる渚さんは、いとおし気で、それでいてアサシンの顔で笑っていた。

ときめいてしまった自分を嘲笑うかのように私は乾いた息で笑った



「帰ろうか。アイス買って行こうよ」


いつもの表情に戻った渚さんは私の手を取って帰路に付いた

ごめんね、渚さん。私もう貴方に堕ちている筈なの。でも、これだけは貴方に言えない。付き合ったら尚更ひどくなるだけ。両想いなのに、もどかしい攻防戦が始まりそうだ

―――
渚side
遊夢ちゃん、分かってるよ。君は昔から将来の信憑性のない告白は断って来たもんね。でも安心して。僕は元から君を生涯愛するつもりだし、それを踏まえて君を落とす予定だから…
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