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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第29章 抜けない熱はそのままにして







『…………え』

「反応するの遅くない?」




それぐらいは許してほしい。だって急に告白されたんだもん、しかも海辺で


『じょ、冗談とかでは…』

「ない。僕が遊夢ちゃんに冗談言うことなんてあった?」

『………ない…』


墓穴だった。完全に行く手を阻まれた。身柄は解放されているけど、彼の瞳からは逃げられない。青く、この海のような淡い色をした渚さんの瞳は人を吸いつける力があった

本当に…海のような人だ



「遊夢ちゃんは…いやだった?僕に好きって言われるの」

『え…あ、いやその…///』

本当にいつからこんなに攻める方になったんだ!!クラスでは圧倒的小鹿キャラなのに!!
少し上目遣いで眉を下げる渚さん、そんなこと言われたら否定できなくなる…

『べ、別に嫌ではありませんよ…………嫌いじゃありませんし…』


「それってつまり…





好きってこと?」

『ッ~~~~…///』

俯いて小声でぼそぼそ言ってたら耳元を攻められた。唇から発せられたいつもでは聞きえない低くて優しい囁き声と、敏感な耳に吹きかかる微かな空気

このままでは本当に水蒸気と化してしまいそうだ

「流石にかの有名なMineちゃんでも恋愛はしたことないみたいだね」

『じゃ、じゃあ渚さんはしたことあるんですか!?』

「ないよ」

『聞いてきたくせに何その反応!!』

真っ赤になっている私を微笑まし気に見る渚さん。
いや、なんもおもんないて…


「恋って傲慢なんだね。一緒にいるだけで満たされるし、満足してしまうんだから…」

『………渚さんは…私に対してそう思っていたってことですか?』

少し憐れそうに呟く彼にそう聞くと
「少なくとも僕はそう思ってる。だから君にこの思いを伝えたんだよ?」
と笑って答えた



「それ以上の何者でもない」

『…』

「遊夢ちゃん、僕と付き合って下さい」










私は…彼に何度も救われた。

大丈夫も

一緒に帰ろうも

ふざけるなも

些細なことから大事なことまで、全部しつこいくらいに彼は私を心配してくれたんだ。

そんな彼に私は…


満たされていた。



渚さんと一緒にいられれば、ほんの少し自分を解放できる気がする。楽に生きられる気がする





渚さんと…恋がしたい
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