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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第28章 夏の匂いが残る頃に


「でね、ビッチ先生の作戦なんだけどー」

『すみません、私今日一杯は部屋で寝ていますね』

「大丈夫?ばてちゃった?」

『多分疲れが残っているんだと思います。ご飯もいらないので』



今はカオスな自分の頭を整理したくて、一人になりたかった。

人の目を気にすることないから。ここならめいっぱい泣けるから








『私が…もっと自分を大事にできたら…こんなことにはならなかったのかな………』






誰でもいいから私を叱って欲しかった。


駄目な子だって








「遊夢ちゃん、起きてる?」


鍵を閉めずに寝てしまったから渚さんにやすやすと部屋に入られてしまった

急いで目頭を拭うと顔だけ向けた


「あの…疲れてるなら尚更何か少し食べないと本当にばてちゃうよ。

心配だから持ってきたんだ。おにぎりなら食べられる?」

小さなおぼんに適当なサイズのおにぎりと水を持ってきてくれた。時計を見れば夕食の予定時刻だった

『渚さんは…』
「有志で持ってきただけだから、先生にも言ってあるし心配しなくていいよ」

ベッドの横の小さな机にそれを置いた渚さんに私は頼んだ



『渚さん…


私を叱って下さい』



「え?」




勿論返答は予想してた。そりゃそうだろう、何も言わずに叱って欲しいだなんて。私は酷い人だ、でも


『渚さんなら…私を本気で怒ってくれると思ったので』

今本能的に頭がそう言っていた

「……」


渚さんはそのまま黙って私の横に座り、

「こら」

と軽く頭をチョップした

「僕の叱責を自虐に使わないで」
『!』
あの時とは違う、優しく諭している感じ

「僕が本気で怒るときは遊夢ちゃん自身が傷つけられてる時だけ」
当てられた手はそのまま私の頭を流れた



彼は、私を救いたいって思っていた。

あの時彼が叫んだ言葉は私の骨の芯まで響いた

嬉しかったんだ。

『……渚さんは…私を叱ってくれる数少ない大事な人です』

「…!」


本当の事を打ち明けるかどうか…

幻滅されることが一番怖い。







けどひとまず……私は悪くないんだ。私に責任はないんだ

「遊夢ちゃん、やっと泣いてくれた…」

辛かったことちゃんと分かってるよ。

私の涙を拭う優しい彼の手が、そう言っているような気がした
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