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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第28章 夏の匂いが残る頃に


ホテルの人気のいない廊下で二人で立ち話をした
「済まないな、指名してしまって。個別的な話だからみんなの前では伝えるべきでないと判断した」
『いえ、分かっていますよ。私はそれだけ烏丸先生を信用していますから』
私が微笑んで言うと、先生は何故か悲しそうな目をした

「君が眠っている間、身体の検査をさせてもらった。


これが結果だ」


そう言ってぺらんと紙を渡す。

無機質なフォントで書かれた文字で


「子宮内異常」


と書かれていた
『……』

言葉が出なかった。どういうことなのか聞きたいけれど、口が動かなかった

「恐らく鷹岡にやられたときに損傷してしまったのだろう」
察してくれた烏丸先生が続きを言ってくれた

「残酷な話だが、
医者に寄れば君は今後将来子供を産むことができない身体になった可能性が高い」
『…!』
その時、私はショックを受けて何も言えなくなってしまった。
今までだったら結婚なんてする予定もなかったし、どうでもいいと思っていたから、将来の事なんて気にも留めなかった
けど何故だろう、こうも涙がとめどなくあふれてくるのは























そうか、このクラスで初めて…



私を大切にしてくれる人たちに会えたから…


『(ははは…これじゃまたみんなに怒られちゃう)』

「まずは謝らせてくれ、俺の身内の責任だ。本当に済まない」
奴が私に暴力を振るったこと、将来に手をかけたこと。その七文字で全てが含有しているような気がした




違う、違うんだ。烏丸先生が謝ることなんかじゃない。

きっとあいつの攻撃は一部でしかない。私が…今まで自分を大切にできなかった自分の傷が…


作られた痣がうずいた気がして、お腹に手を当てる

「君の元へ防衛省から慰謝料と賠償金を支払うつもりだ。今後何か治療が必要ならこちらから経費を出そう。

俺が今できる償いはそれだけだ…」
だから烏丸先生は悲しい顔をしていたんだ。私だって本当はあいつに頭を下げて欲しい。でも、もう会いたくもない。だからこれが今の最善の策だと思うしかなかった


『鷹岡は……もう私達の元へは戻ってこないんですね』
「ああ、その為に最善を尽くす」
『ならそれでいいです。失ったものは戻りませんから』



「あ、早稲田さんおかえり」
また一つ、言えない秘密ができてしまったな…
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