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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第27章 バベルの塔の時間


渚さんは苦い顔をして続ける

「………待って下さい鷹岡先生。闘いに来たわけじゃないんです」

「だろうなァ、この前みたいな卑怯な手はもう通じねぇ。一瞬で俺にやられるのは目に見えてる」

卑怯かどうかはともかく、結果は確かに事実だ。こいつからどうやって交渉すれば

「だがな。一瞬で終わっちゃ俺としても気が晴れない。だから闘う前に…やることやってもらわなくちゃな。

まずは、こいつでその白髪を拘束しろ。叫び声は聞こえるように手首だけな」

そう言って気持ち悪く笑いながら足元にガムテープを投げた


渚さんは不安な目をしてそれを取り上げたが、私はもはや涼しい顔で鷹岡を見つめていた。

『もう分かり切っていたことなので…どうぞやっちゃって下さい渚さん』
そう言って縛りやすくするために手首を背中でクロスする

「ッ……ごめん…」




「はっはっは、これで手も口も動かせなくなったなァ?残念だよな、大好きな仲間に見捨てられてよッ!!!」



拘束が終わると鷹岡が殴りかかって来た。容赦なく腹や顔に拳を当てる

防御もできないから普通に痛い

「お前はチビだからサンドバッグには丁度いいなぁ!?

見ろ!お前は武器を使うしか俺に歯向かえない弱腰なんだよ!!その分俺はどうだ?こんな風に手一つでお前を殺せるんだ。


お前はそんな父ちゃんに逆らったんだよ!!分かってんのか!!?あ!?」


「遊夢ちゃん!!」


しかし暫くして殴り続ける手は止まった。





私は余りにも叫んだり苦しんだりした様子を見せなかったからだ



「…」
鷹岡の頬に恐怖の冷汗が落ちる


『渚さん…』


私はそのまま話しかけた



『これでいいんです』

「…なん…で」

『これが私の得意分野だから』

「!!」

いつも常日頃暴行を受けていた私にはその行為はもはや普通と化してしまった
『今、苦しむことは奴の思うがままです。最善の策は静かに、穏やかでいること。それができるのはきっと私だけだって。それだけ自信があるんです』

虚無になる。普通と化してしまった生活に順応するために自然と育ったスキル
闇の沼に沈んで、自分を空っぽにして、煩悩も、痛みの器官でさえ全てシャットアウトする
その痛みを全て受け入れるために生まれて来た。

だから渚さん、貴方は何もしなくていいんです。みんなを守るためだから
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