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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第27章 バベルの塔の時間


暫く進むと、律さんが表示した通りの姿で男は座っていた

近くには配線の通ったスーツケース。恐らく今回の取引のブツだろう。みんながお互いの顔を見合わせて頷いた

まず可能な限り接近して、出来れば取り押さえる。遠い距離で気付かれたら、烏間先生が男を撃つ。
まずはリモコンを取る手を遅らせることが目的だ。

皆で一斉に襲いかかって拘束する。
焦った顔、見せてもらう。
苦しんでる皆の前で、謝ってもらう。

男の大きな背中を窺いながらじりじりと間合いを詰める


「かゆい」


その一言でみんなの動きがピタリと止まった。気づかれた!?

「思い出すとかゆくなる」

私達の緊張もお構いなしに続ける男

「でも、そのせいかな、いつも傷口が空気に触れるから…感覚が鋭敏になってるんだ」

ばっとじゃらりとした何かを床に広げた。
『!』
これじゃあ何が本当に起爆させる装置か分からない!

「言ったろう。もともとマッハ20の怪物を殺す準備で来てるんだ。リモコンだって超スピードで奪われないよう予備も作る」
振り向いて見えたかまいたちに引っかかれたような三本の傷。モニターの逆光が段々と薄れ、奴の全貌が見えてきた

「うっかり俺が倒れ込んでも押すくらいのな」


そうだ…私は…私達はこいつの声を聴いたことがある。

あいつも、私自身もお互いに憎んでいる奴


「…連絡がつかなくなったのは────3人の殺し屋の他に『身内』にもいる。
防衛省の機密費────暗殺に使うはずの金をごっそり抜いて…俺の同僚が姿を消した」

烏丸先生がいつもよりずっと重みもある声で私達、いや、奴に告げた

「…どういうつもりだ

















鷹岡ァ!!」


椅子で振り返った奴はぎょろりとした目で怪しく笑う。


思い出しただけでも吐き気がする

「悪い子達だ…恩師に会うのに裏口から来る。父ちゃんはそんな子に教えたつもりはないぞ」

こいつは相変わらず父親と言う立場を押し付けてくるのか…あまりの変わっていなさに逆に呆れてくる

「仕方ない。夏休みの補習をしてやろう」



見たくなかった。こいつが何か企んでいる顔なんて
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