第27章 バベルの塔の時間
「じゃあこう言ってみ木村、ゴニョゴニョ」
それを見兼ねた赤羽さんが木村さんに耳打ちする。本人はええ…と渋る顔をしていたが他に当てもなさそうなのでその作戦を採用するようだ
「ノッてきたねカルマ君(汗」
先生を持ちながら苦笑いする渚さん。やるとなると怖いが彼に任せれば確実だ
ガードマン二人の目の前に堂々と立つ木村さん。案の定二人は眉をひそめて話しかけた
「? …何だボウズ」
「…あ」
木村さんは緊張しているのか、始め小さな声で喋るが、もうやけくそになって焦りながらも言葉を続ける
「あっれェ〜、脳みそ君がいないなァ〜、こいつらは頭の中まで筋肉だし〜」
わざとらしく辺りをキョロキョロする。うん、確かにこれを言うには勇気いるね
「人の形してんじゃねーよ豚肉どもが」
退路を確保して、それだけ言うと逃げる態勢を取る。勿論相手は険悪
「おい」
「待てコラ」
明らかに怒った勢いで木村さんを追いかける二人。しかし、鍛え上げられたクラス一の足では追い付かない
「ちょ、くっ…」
「なんだこのガキクソ速ぇ!! てかこいつもしかして…」
二人が私達の横を通った瞬間
「おっし今だ吉田!!」
「おう!!」
吉田さんと寺坂さんが食らいつく
バチッという刺さるような音が響いた
男が倒れ寺坂さんの手元にはスタンガンが
「ス…スタンガン…」
『いつの間にそんなものを…』
「タコに電気を試そうと思って買っといたのよ、こんな形でお披露目とは思わなかったがよ」
「買っといた…って、高かったでしょそれ」
「ん…最近ちょっと臨時収入あったもんでよ」
少し皮肉気に話す彼。多分シロに騙された時の報酬だろう
「…いい武器です、寺坂君。ですが、その2人の胸元を探って下さい」
「あン?」
袋の中の先生に言われ、ガードマンの胸元のポケットに手を入れた
「ふくらみから察するに…もっと良い武器が…手に入るはずですよ」
すると、寺坂さんが一瞬険しい顔をしてその手をズッと引き抜くと
漆黒の重々しい武器が
本物の拳銃…私達が持っているものよりもずっと重くてずっしりしている
「そして、千葉君、速水さん。この銃は君達が持ちなさい」
指名された二人はえ?と言う顔をする
「烏間先生はまだ…精密な射撃ができる所まで回復していない。今この中で最も『それ』を使えるのは君達2人です」
確かにこの中では二人が妥当だ
