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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第27章 バベルの塔の時間


「何故だ…俺のガス攻撃…おまえは読んでいたから吸わなかった。俺は素手しか見せてないのに…何故…」

「とーぜんっしょ、『素手以外』の全部を警戒してたよ」
赤羽さんがさも当然のように話し、笑う

「あんたが素手の闘いをしたかったのはほんとだろうけど、この状況で既に固執し続けるようなプロじゃない。俺等をここで止めるためにはどんな手段でも使うべきだし、俺でもそっちの立場ならそうしてる」

流石だ、喧嘩と冷静さはクラス一
「あんたのプロ意識を信じてたんだよ、信じてたから警戒してた」
赤羽さんは男の前へしゃがんで目を見てそう喋った

「大きな敗北を知らなかったカルマ君は…期末テストで敗者となって身をもって知ったでしょう。敗者だって自分と同じ、色々考えて生きている人間なんだと」

話に割って来たのは先生。赤羽さん…テストの結果そんなにだったんだ。知らなかった

「それに気付いた者は必然的に…勝負の場で相手の事を見くびらないようになる。自分と同じように敵も考えていないか、頑張っていないか、敵の能力や事情をちゃんと見るようになる。敵に対し敬意を持って警戒できる人。戦場ではそういう人を…『隙が無い』と言うのです」

確かに…警戒はその相手にある背景全てを見渡すこと。それは裏を返せば先生の言う通り、敬意なのかもしれない。
赤羽さんはそれをこの夏で身に付けたんだ

「…大した奴だ、少年戦士よ。敗けはしたが、楽しい時間を過ごせたぬ」
男は戦闘の顔を解いた素の顔になって笑った

「え、何言ってんの? 楽しいのここからじゃん」
それを聞くとニヤリと笑った赤羽さんはチューブのようなものを用意する。男は不思議そうにしているけど私達はすぐに察した。

またいつものやつだ…(汗。と

『え…もう身柄拘束してるしいいんじゃ…(汗』
私の警告も聞かず、赤羽さんは無視

「…なんだぬ、それは?」

「わさび&からし。おじさんぬの鼻の穴にねじこむの」
「なにぬ!?」
「さっきまではきっちり警戒してたけど、こんだけ拘束したら警戒もクソもないよね」

全く…嫌な性格は都合よく残ったままなのか…

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