第27章 バベルの塔の時間
アクションは向こうから動いた。男は右側にある大きな窓ガラスに拳を当て、大きな穴を開けた。
『(先生…これ勝てる気がしません…(汗 )』
恐らくみんなも同じことを思ったであろう。あんぐりと口を開けている
そんな中、男は静かに喋り始めた
「…つまらぬ」
独り言…のようだが明らかに私達の存在が分かっている
「足音を聞く限り…『手強い』と思える者が1人も居らぬ。精鋭部隊出身の引率の教師もいるはずなのぬ…だ。どうやら…『スモッグ』のガスにやられたようだぬ。半ば相討ちぬといったところか。出てこい」
手強いというのが烏丸先生、スモッグと言うのがさっきの毒ガス男の事だろう。と言うことはあの二人は今回の同僚
皆、恐る恐る前へ出る
「『ぬ』多くね、おじさん?」
赤羽さんんんん…言いたいことは分かりますけど…(汗
「『ぬ』をつけるとサムライっぽい口調になると小耳に挟んだ。カッコよさそうだから試してみたぬ」
答えるんかい!!というか文法色々変だしそれだとなんか………可愛い…
「間違ってるならそれでも良いぬ。この場の全員殺してから『ぬ』を取れば恥にもならぬ」
そう言って手始めに手首を鳴らす男
「素手…それがあなたの暗殺道具ですか」
先生が球体のまま話しかけると、さも当然に続ける
「こう見えて需要があるぬ。身体検査に引っかからぬ利点は大きい。近付きざま頚椎をひとひねり。その気になれば頭蓋骨も握りつぶせるが」
その説明にゾッとする。本気で死んじゃうじゃんこれ!!
「だが面白いものでぬ。人殺しのための力を鍛えるほど…暗殺以外にも試してみたくなる。すなわち闘い。強い敵との殺し合いだ」
一体この戦闘狂からどうやって切り抜ければ…
「だががっかりぬ。お目当てがこのザマでは試す気も失せた。雑魚ばかり1人で殺るのも面倒だ。ボスと仲間呼んで皆殺しぬ」
そう言って携帯を取り出した男。まずい、電波だと遮断する術はない
次の瞬間、男から携帯が離れた
後ろを見ると赤羽さんが植木鉢を投げ携帯に命中させたようだ。はじかれた携帯は鉢と共に割れた
「ねぇ、おじさんぬ、意外とプロってフツーなんだね。ガラスとか頭蓋骨なら俺でも割れるよ」
彼なりの威嚇だ
「ていうか、速攻仲間呼んじゃうあたり、中坊とタイマン張るのも怖いひと?」
赤羽さん…このままやる気だ…!けど口で勝てても相手は業界者。勝てる筈ない…!
