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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第27章 バベルの塔の時間


「…不破」
「だっておじさん、ホテルで最初にサービスドリンクを配った人でしょ?」
皆は不破さんのその言葉を受け、男の顔をよく見る。
「…あ!!」

確かに、今よく見ればあのジュースを配っていたホテル員と顔のパーツが一緒…!しかし男は不敵な笑みを浮かべて返した
「断定するには証拠が弱いぜ。ドリンクじゃなくても…ウィルスを盛る機会は沢山あるだろ」

「皆が感染したのは飲食物に入ったウィルスから。…そう竹林君言ってた。クラス全員が同じものを口にしたのは…あのドリンクと、船上でのディナーの時だけ。けど、ディナーを食べずに映像編集をしてた三村君と岡島君も感染した事から、感染源は昼間のドリンクに絞られる
従って、犯人はあなたよ、おじさん君!!」


す、凄い…そこまですぐに推理ができるなんて…
私は驚いて男を指さす不破さんを見た

「すごいよ不破さん!!」
「なんか探偵みたい!!」
「ふふふ、普段から少年漫画読んでるとね、普通じゃない状況が来ても素早く適応できるのよ」

すると歓声を上げるみんなに反論するように男は笑った
何かと思えば烏丸先生が急に膝をついて立てなくなってしまった

『烏丸先生!!』

「毒物使い…ですか。しかも実用性に優れている」
汗を垂らしながら言ったのは先生

「俺特製の室内用ガスだ。一瞬吸えば象すらオトすし、外気に触れればすぐ分解して証拠も残らん」

「ウィルスの開発者もあなたですね。無駄に感染を広げない。取引向きでこれまた実用的だ」

「さぁね、ただ、おまえ達に取引の意思が無い事はよくわかった。交渉決裂、ボスに報告するとするか」


まずい…!!この状況に瞬時に理解が追い付く。このまま報告されてしまえば皆を治す薬が…!!




そう頭で考える前に体は動いていた。男が来た方面入り口をすぐさま塞ぎ、その辺にある何か攻撃力がありそうなものを手に持ち威嚇する
そしてガスを受けたはずの烏丸先生が立ち上がった

「敵と遭遇した場合…即座に退路を塞ぎ連絡を断つ。指示は全て済ませてある」
上手くいってよかった…

「おまえは…我々を見た瞬間に攻撃せずに報告に帰るべきだったな」
しかし烏丸先生はフラフラしていてまともに立てていない。今後長くは持たないだろう
「…フン、まだ喋れるとは驚きだ。だが、所詮他はガキの集まり。おまえが死ねば統制が取れずに逃げ出すだろうさ」
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