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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第27章 バベルの塔の時間


「……さて、君等になるべく普段着のまま来させたのにも理由がある入口の厳しいチェックさえ抜けてしまえば…ここからは客のフリができるのだ」

「客? 悪い奴等が泊まるようなホテルなんでしょ、中学生の団体客なんているんスか?」
菅谷さんの質問に烏丸先生が眉間にしわを寄せて答える

「聞いた限り結構いる。芸能人や金持ち連中のボンボン達だ。王様のように甘やかされて育った奴等は…あどけない顔のうちから悪い遊びに手を染める」

『うわぁ…ウチの学校より酷いバージョンですね…』

その家庭状況を聞けばそれがどんな奴らか想像するのは容易い。続いて言ったのは袋に入っている先生
「そう、だから君達もそんな輩になったフリで…世の中をナメてる感じで歩いてみましょう」





え?舐めた?






一瞬だけ戸惑いながらも皆自分なりに言われた通りに歩き出した
「そうそうその調子!!」

「この調子…か? あとおまえまでナメるな」
見ると先生も縞模様の顔をしている。袋にいるなら見られないから必要ないのに…

「ただし…我々も敵の顔を知りません。敵もまた、客のフリで襲って来るかもしれない。充分に警戒して進みましょう」

「……はい!」














「本当に只の客同士って感じだな」

「むしろ視線も合わせない。トラブルを避けたいのはあっちも一緒なんだろうな」

「ホテル内の全員が敵かと思ってたけど、これなら最上階まですんなり行けそうだね」

「仮に何かあっても…前衛の烏間先生が見つけてくれるさ」



「へッ、楽勝じゃねーか、時間ねーんだからさっさと進もうぜ」
寺坂さんがずんずんと次の階段まで向かう



その時だった。不破さんが目を見開き、叫んだのは










「寺坂君!! そいつ危ない!!」

「あ?」

寺坂さんが振り向いた瞬間、彼とすれ違っていた筈のキャップを被った男がポケットに手を伸ばす。瞬時に気が付いた烏丸先生が寺坂さんと吉田さんの服の袖を引っ張り二人を庇った。男はポケットに入っていたスイッチを起動させるとガスが漏れだした。が、烏丸先生が男を蹴飛ばす

今の攻撃を食らったのは実質烏丸先生だけの筈

「…何故わかった?」
男は鼻と口を隠していた布を外し、不破さんに話しかけた

「殺気を見せずすれ違いざま殺る。俺の十八番だったんだがな、オカッパちゃん」
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