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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第27章 バベルの塔の時間


そう言って竹林さんは氷を透明な袋に詰め始めた
「対症療法で応急処置はしとくから、急いで取引に行った方が良い」

「竹林…」

私はふとみんなの方を振り返った。顔を赤くしながら苦しそうに咳を繰り返している。あのままじゃ、まともに呼吸も難しい。


何か…何か安全な方法は…



「良い方法がありますよ」

そんな中いつもの授業の声で話したのは先生だった

「え…?」

「病院に逃げるよりは、おとなしく従うよりは」
熱でダウンしている人も驚いて先生の方を見る

「律さんに頼んだ下調べも終わったようです」
携帯にはスパイのような格好をした律さんが

「元気な人は来て下さい。汚れてもいい格好でね」












車に乗って行きついた先は先程の条件にあった普久間殿上ホテルの裏手。そこには高い崖が聳え立っている

「……高けぇ…」

みんなでその高さを確かめていると、携帯から音声が流れた
「あのホテルのコンピュータに侵入して内部の図面を入手しました。警備の配置図も
正面玄関と敷地一帯には大量の警備が置かれています。フロントを通らずホテルに入るのはまず不可能。ただひとつ、この崖を登ったところに通用口がひとつあります。まず侵入不可能な地形ゆえ……警備も配置されていないようです」

携帯を見ると律さんから例のデータが送信された

「敵の意のままになりたくないなら手段はひとつ。患者10人と看病に残した1人を除き、動ける生徒全員でここから侵入し、最上階を奇襲して、治療薬を奪い取る!!」


『…!』


「…危険すぎる。この手慣れた脅迫の手口。敵は明らかにプロの者だぞ」

「ええ、しかも私は君達の安全を守れない。大人しく私を渡した方が得策かもしれません。どうしますか? 全ては君達と…指揮官の烏間先生次第です」


「………それは…ちょっと…難しいだろ」
みんなは呟く

「そーよ、無理に決まってるわ!! 第一この崖よこの崖!! ホテルにたどりつく前に転落死よ!!」
付いてきたイリーナ先生も同意するが…






「いやまぁ…崖だけなら楽勝だけどさ」

みんなが言っているのはそのことじゃない

「いつもの訓練に比べたらね」
「ねー♪」

みんな次々に崖に手をかけ始める


『烏丸先生が日々鍛えてくれたおかげです。普通の中学生よりは体力あるつもりですよ』
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