第27章 バベルの塔の時間
「でも、未知のホテルで未知の敵と戦う訓練はしてないから」
磯貝さんが少し登った崖の上から烏間先生を見下ろした
「烏間先生、難しいけどしっかり指揮を頼みますよ」
「おお、ふざけたマネした奴等に…キッチリ落とし前つけてやる」
『私も…少し怖いですが、じっとしてられません。ちょっとでも可能性があるなら』
「見ての通り彼等は只の生徒ではない。あなたの元には15人の特殊部隊がいるんですよ。さぁ、時間は無いですよ?」
先生が笑って烏丸先生に声をかけた。
烏丸先生は一度静かに目を閉じ、そして張りのある声でみんなに呼び掛ける
「注目!! 目標山頂ホテル最上階!! 隠密潜入から奇襲への連続ミッション!! ハンドサインや連携については訓練のものをそのまま使う!! いつもと違うのはターゲットのみ!!
3分でマップを叩き込め!! 1950作戦開始!!」
「「「「おう!!」」」」
その声にみんなが応えた
私達はまだ子供。でも、きっと今後これ以上ない位の戦いに挑んでいる。必ず、みんなを助けるんだ!!
「置いてくよ〜」
枝や少しの凹凸でひょいひょいと崖をかけていく岡野さん。
「やっぱ身軽だな岡野は」
「あー、こういう事やらせたらクラス一だ」
私はここまではできないな…流石烏丸先生に認められてる生徒の一人
「…それに比べてうちの先生は」
「動けるのが3人中1人とは……」
下の方では烏丸先生がイリーナ先生をおぶり、イリーナ先生の首に先生のビニール袋を巻き付けている
「キャーゆれる!! もっと静かに登りなさいよ!! カラスマ!!」
大人気なく騒ぐ姿は何ともみっともない
「しかし皆さん見事なバランス感覚ですねぇ」
「クライミングなら学校の裏山でもさせている。どんな場所でも暗殺を可能にするためには…基礎となる筋力とバランスが不可欠だからな」
「なるほどねぇ、フライボードを自在に操ったのもその成果ですね」
「いいから早く登んなさいよ!! 掴まる手が疲れてきたわ!!」
イリーナ先生がキーキー暴れ出す。ご愁傷様です…(汗
「…つうかビッチ先生何でついて来てんだ?」
「留守番とか除け者みたいで嫌なんだって」
「フン、足出まといにならなきゃいいけどな」
そうひそひそ話すのは千葉さんと片岡さんと寺坂さん
『イリーナ先生侵入中なんですから静かにして下さい(汗』
