第27章 バベルの塔の時間
丁度、烏丸先生の部下らしき三人が烏丸先生の元へ駆け寄ってくる
「烏間さん…案の定ダメです。政府としてあのホテルに宿泊者を問い合せても…『プライバシー』を繰り返すばかりで……」
「……やはりか」
「やはり…?」
先生はビニール袋に収納されたまま烏丸先生に問う
「警視庁の知人から聞いた話だが、この小さなリゾート島『普久間島』は『伏魔島』と言われマークされている。ほとんどのリゾートホテルはまっとうだが、離れた山頂のあのホテルだけは違う。南海の孤島という地理も手伝い、国内外のマフィア勢力や、それらと繋がる財界人らが出入りしていると聞く」
そんな危険な場所に…来いと言われている。首謀者は恐らくその関係者しか考えられない
「私兵達の厳重な警備のもと…違法な商談やドラッグパーティーを連夜開いているらしい。政府のお偉いさんともパイプがあり、うかつに警察も手を出せん」
烏丸先生がいつも以上に眉間にしわを寄せた
「ふーん、そんなホテルがこっちに味方するわけないね」
「どーすんスか!? このままじゃいっぱい死んじまう!! こっ…殺される為にこの島来たんじゃねーよ!!」
「落ちついて吉田君。そんな簡単に死なない死なない。じっくり対策考えよ」
「お、おお。悪ィな原」
顔面蒼白だった吉田さんをひとまず原さんが落ち着かせた
「言う事聞くのも危険すぎんぜ。一番チビの2人で来いだァ? このちんちくりん共だぞ!? 人質増やすよーなモンだろ!!」
『さらっと失礼なこと言わないで下さい寺坂さん』
ここで初めて彼と喋った気がする。男子なら渚さん、茅野さんと私が背を比べても大差はない
「第一よ、こんなやり方する奴等にムカついてしょうがねぇ。人のツレにまで手ェ出しやがって」
村松さんと狭間さんもダウンしている。寺坂さんも腹の虫が収まらないようだ
「要求なんざ全シカトだ!! 今すぐ全員都会の病院に運んで…」
「…賛成しないな」
そう言ったのは竹林さん。
「もし本当に人工的に作った未知のウィルスなら、対応できる対ウィルス薬はどんな大病院にも置いてない。いざ運んで無駄足になれば、患者のリスクを増やすだけだ」
確かに…ここからまともな陸の病院に着くまでは最低でも4時間はかかるだろう