第26章 真夏の大合戦の時間
「裏を返せば、結晶が崩壊するまでの24時間。先生は全く身動きが取れません
これは様々なリスクを伴います。最も恐れるのは、その間に高速ロケットに詰めこまれ、はるか遠くの宇宙空間に捨てられる事ですが…その点はぬかりなく調べ済みです。24時間以内にそれが可能なロケットは今世界のどこにも無い」
先生は顔だけのまま縞々のドヤ顔を見せつけてくる。
『つまりそっちも手は打ってたって訳か…』
「その通りです」
「チッ、何が無敵だよ。何とかすりゃ壊せんだろこんなモン」
完敗の重い空気を切ったのは寺坂さんだった。ドライバーを取り出し、ガンガンと打ち付けて見るも…
「ヌルフフフ無駄ですねぇ、核爆弾でもキズひとつつきませんよ」
どうにもならなかった。けど、彼なりにみんなの空気を換えようとしてくれていることが分かってちょっぴり私は嬉しかった
「そっか〜、弱点無いんじゃ打つ手ないね」
そして赤羽さんもまた尚更清々しい顔をして先生に寄って行く。スマホでスッとかざしたのは先ほど見せた恥ずかしい先生集の映像
「にゅやーッ!!
やめてーッ、手が無いから顔も覆えないんです!!」
「ごめんごめん、じゃ、とりあえず至近距離で固定してと…」
「全く聞いてない!!」
こうなればもう彼の独壇場だ。次は海岸からウミウシやナマコを捕まえてきてペタリと貼り付けていく
「そこで拾ったウミウシもひっ付けとくね」
「ふんにゅああああッ」
『同じ軟体動物でしょうに…しかも粘液付き。そっくりじゃないですか(汗』
「あと誰か不潔なオッサン見つけて来てー、これパンツの中にねじ込むから」
「助けてーッ!!」
「……とりあえず解散だ、皆。上層部とこいつの処分法を検討する」
烏丸先生がひょいと球体先生を取り上げる。赤羽さんは「まだこれからなのに~」と笑みを浮かべながら惜しがった
「ヌルフフフ、対先生物質のプールの中にでも封じこめますか?」
烏間先生の手によってビニール袋に入れられた先生は自慢げに笑う。
「無駄ですよ。その場合はエネルギーの一部を爆散させて…さっきのように爆風で周囲を吹き飛ばしてしまいますから」
「……!!」
「ですが、皆さんは誇って良い。世界中の軍隊でも先生を『ここ』まで追いこめなかった。ひとえに皆さんの計画の素晴らしさです」
先生はそのまま連れていかれた
