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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第26章 真夏の大合戦の時間


「まだそれある?」

『はい、結構持ってきましたから…って何に使うつもりなんです?』

「ん?面白いこと」

『ほどほどにしておいて下さいね』







「夕飯はこの貸し切り船上レストランで、夜の海を堪能しながらゆっくり食べましょう」
「…な、なるほどねぇ…まずはたっぷりと船に酔わせて戦力を削ごうというわけですか」

表情は黒くて分からないが先生の声は困っている。未だに表情が読めなくて私達の半分も困り顔

「当然です。これも暗殺の基本のひとつですから」
「実に正しい。
ですが、そう上手く行くでしょうか」

先生はス、とワインを掲げる。

「暗殺を前に気合の乗った先生にとって、船酔いなど恐れるに」

「「「「黒いわ!!」」」」

ついにみんなに突っ込まれた

「そんなに黒いですか?」
「表情どころか前も後ろもわかんないわ」
「ややこしいからなんとかしてよ」
「ヌルフフ、お忘れですか皆さん。先生には脱皮がある事を。黒い皮を脱ぎ捨てれば」

麦わら帽子を上げると、その頭からピシピシと亀裂が入りヌルりを本体が出て来る


「ホラもとどおり」

いつもの黄色い絵文字顔だ。しかし

「あ、月一回の脱皮だ」

「こんな使い方もあるんですよ、本来は『ヤバい時の奥の手』ですが………………あっ」

今更気づく先生

「バッカでー、暗殺前に自分で戦力減らしてやんの」
「どうして未だにこんなドジ殺せないんだろ」

通常モードは生徒の方が数枚上手だ

私はというと赤羽さんと話している間も、食事をとっている間も渚さんの反応が気になってそれどころではなかった。
何か私を避けているような気がして少し落ち込む


『私…何か悪いことでもしてしまったんでしょうか?』
「何何?」

倉橋さんに聞かれてしまった。ここではぐらかすと大したことじゃないのに大ごとになってしまうから素直に話すことにした

「なるほど~帰ってから渚君の様子が変…と」
『今までこんなことなかったんですが…何だか悲しいです』
「早稲田さんから見て渚君っていつもはどんな感じなの?」
『どちらかと言うとあちら側から積極的に話しかけてくれます。あと必要以上に心配されます』
「あー、ぽい」
ちらりと渚さんを見る倉橋さん。

「でも今日初めてのことなら疲れてるだけかもしれないよ。気にしなくていいんじゃない?」
『だといいのですが』
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