第26章 真夏の大合戦の時間
「……どういう意味?」
「別にー、泣くほど大事な存在だったんだ~って思っただけ」
「分からないよ…
カルマ君は、遊夢ちゃんが好きなの?」
焦る気持ちのなか、僕は一番聞きたい質問をした
「好きだよ。
それをどう取るかはお任せ」
カルマ君は振り返っていつもの爽やかな笑顔で答えた
「(どういうこと…カルマ君も……?)」
いや、そもそも僕が遊夢ちゃんをどういう存在として定義づけているのかも分からなくなってきた。好意と憧れの狭間で、そこに何の違いがあるのか。
僕は困惑の中彼の背中を見つめるしかできなかった
「(好きって何なんだろう…)」
―――
YOU side
「いやぁ、遊んだ遊んだ。おかげで真っ黒に焼けました」
「黒すぎだろ!!」
ホテルに帰って来た先生の身体は黒い絵具でべったり塗られたように真っ黒だ
「歯まで黒く焼けやがって」
「もう表情が読み取れないよ」
みんなもあきれ顔
「じゃ、殺せんせー。メシの後暗殺なんで。まずはレストラン行きましょう」
はーい、と元気に返事をする黒いタコ
「どんだけ満喫してんだあのタコ」
「こちとら楽しむフリして準備すんの大変だったのによ」
「ま、今日殺せりゃ明日は何も考えずに楽しめるじゃん」
「まーな、今回ぐらい気合入れて殺るとすっか!」
みんなでテラスに向かう中、渚さんを見かけたので話しかけた
『渚さん』
「あ…遊夢ちゃん」
渚さんは何故かぎこちなく笑った
『午前の暗殺の方、どうでしたか?』
「うん…この後の計画には支障はなさそう。
後は…イルカ鑑賞しながら先生を海に引きずり込む作戦だったんだけど…結局先生がイルカに乗ってて失敗しちゃった」
『そうですか、ご苦労様です』
「ひつじちゃんのとこは?」
いつの間か赤羽さんも隣にいた
『ん?私は…ビーチバレーをしている時に先生を落とし穴に落として…
渚さん?どこ行くんですか?』
「ううん、ちょっとトイレ行ってくる」
『……』
「で?」
『あ、はい。水鉄砲やら水風船やらで動きを封じ込めようとしたんですが、砂の壁を作られて全然水が通らなくて…』
「あー…その手があったか」