第25章 静かなる戦いの時間
「それと殺せんせー、これは皆で相談したんですが」
そう言って立ち上がった磯貝さん
「この暗殺に…今回の賭けの『戦利品』も使わせてもらいます」
―――
一週間後、本校舎で行われた終業式
「えー…であるからして、夏休みでも気を抜かずE組のようになることのないよう…」
決まり文句はあの時と一緒。けど、誰も笑うものなんていない。なんせ今回の上位はE組が占めているのだから
『(ふふ、逆にお手本にした方がいいんじゃない?)』
先生のおかげで私達は胸を張って立っていられた
「ひとり一冊です」
教室に戻れば先生が机に辞書を置いた。一応…表紙には「夏休みのしおり」と書いてある(汗
「…出たよ恒例過剰しおり」
「アコーディオンみてーだな」
「これでも足りないぐらいです! 夏の誘惑は枚挙にいとまがありませんから」
『ただでさえ終業式で荷物多いんですから勘弁してくださいよ…』
呆れながら続けるみんなに、先生は話し出した
「さて。
これより夏休みに入るわけですが、皆さんにはメインイベントがありますねぇ」
「ああ、賭けで奪ったコレのことね」
中村さんがひらひらと仰ぐのはウチにパンフレット
「本来は成績優秀クラス、つまりA組に与えられるはずだった特典ですが。今回の期末はトップ50のほとんどをA組とE組で独占している。君達にだってもらう資格はあります」
先生が間を開けて発表した
「夏休み!! 椚ヶ丘中学校特別夏季講習!!
沖縄離島リゾート2泊3日!!」
一気にわあっと歓声が上がる。みんなとまた遠出ができる、これは私もうれしい!しかも無料で!
「―君達の希望だと、触手を破壊する権利はここで使わず、この離島の合宿中に行使するという事でしたね」
視線を磯貝さんの方へ向ければ、こくりとうなづく
「触手7本の大ハンデでも満足せず、四方を先生の苦手な水で囲まれたこの島を使い、万全に貪欲に命を狙う。
正直に認めましょう。君達は侮れない生徒になった」
先生から…初めてアサシンとして認められた…
勉強も、暗殺も、E組は少しずつだが変わっている
「親御さんに見せる通知表は先ほど渡しました。これは、先生からのあなたたちへの通知表です」
先生の超スピードで何かを書き上げ、それを投げる