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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第23章 水遊びは波乱の時間


「水に…生身で入ってる?」

「…いや、違う

マッハで周りの水を掻き出してる!!」

な、なんだそれ…異次元過ぎて声も出ない…先生のその動きで再びプールの流れが変わる

「な、何これ!! 波はこっちに来てんのに引きずりこまれる!!」

「落ちついて!! 泳ぐ方向こっちに変えて!!」
「…え!? 流れるの止まった…」

「離岸流って言ってね、岸に反射して沖に出ていく流れがあるの。前に心菜が溺れた原因はこれじゃないかな。
そういう時は無理に岸に向かわずに岸と平行に泳いで流れから抜ける。とにかく絶対パニックにならない事!」

凄い…元水泳部だとしてもそんな地理的な知識も兼ね備えているなんて…そんな人は中々いないだろう

「知識だけ身につけてもダメですよ。朝まで死ぬほど泳いで…魚のような流麗な泳ぎを身につけましょう」
それじゃホントに死んじゃうけど…いいのか?








それから心菜さんは朝まで泳いだ。元々できるならやればいいのに。プロの現場に行く私は知っている、本気がかっこ悪いなんて将来通用しないんだから。


「これで彼女に責任は感じませんね、片岡さん。
これからは手を取って泳がせるだけじゃなく…あえて厳しく手を離すべき時もあると覚えて下さい」

「はい、殺せんせーも突き放す時あるもんね」


これで彼女が片岡さんの足を引きずり込もうとすることはないだろう

「ああ、それと

察しの通り先生は泳げません。水を含むとほとんど身動きとれなくなります」

え?そんなにさらっと言っていい物なの…?

「弱点としては最大級と言えるでしょう。とは言え先生は大して警戒していない。落ちない自信がありますし、仮に水中でも片岡さん1人なら相手できます」

水に触れるとの触手はグググ、と膨れた。が、先生は自慢げに続けた。

「ですから、皆の自力も信じて、皆で泳ぎを鍛えて下さい。そのためにこのプールを作ったんです」














『なんか…意外とあっけなかったですね…』

「うん、でも

これならできる。みんなで殺れる…!」
渚さんの目の奥に火が灯ったのを見て私は微笑んだ


『偉いですね』
「え、そう?」
『私は未だに先生を殺す気にはなれませんから』
「…でも、それでも僕等と一緒に暗殺してくれるんだもの。僕は嬉しいよ」


『………ありがとう』
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