第23章 水遊びは波乱の時間
みんなと遊んでいると鋭い笛の音が響いた
「木村君!! プールサイドを走っちゃいけません!! 転んだら危ないですよ!!」
「あ、す、すんません」
ピピーッ!
「原さんに中村さん!! 潜水遊びはほどほどに!! 長く潜ると溺れたかと心配します!!」
「は、はーい…」
ピピー!
「岡島君のカメラも没収!! 狭間さんも本ばかり読んでないで泳ぎなさい!! 菅谷君!! ボディーアートはふつうのプールなら入場禁止ですよ!!」
「「「「(ピーピーうっさい!!)」」」」
「いるよねー、自分が作ったフィールドの中だと王様気分になっちゃう人」
「うん…ありがたいのにありがたみが薄れちゃうよ」
『ははは…まあ、当の本人が楽しそうならいいんじゃないですか?』
「ヌルフフフ、景観選びから間取りまで自然を活かした緻密な設計。皆さんにはふさわしく整然と遊んでもらわなくては」
「カタいこといわないでよ殺せんせー、水かけちゃえ!!」
それを聞いた倉橋さんが無邪気に先生へ水をかける。すると、
「きゃんっ」
『え、キモ』
なんか…乙女?みたいな悲鳴を上げる先生。姿と声が似合わない
「えっ…」
「何、今の悲鳴」
それよりも、この場にいる全員
何かを察した
赤羽さんが静かに先生に近づき、監視員用の高い椅子の足を持ってそれを激しく揺らす
「きゃあッ、ゆらさないで、水に落ちる!!」
やっとの思いで抜け出した先生は肩で息をする
”水に落ちる”?
まさか…
「…いや別に泳ぐ気分じゃないだけだし。水中だと触手がふやけて動けなくなるとかそんなん無いし」
「手にビート板持ってるじゃん、てっきり泳ぐ気満々かと…」
「これビート板じゃありません、ふ菓子です」
「おやつかよ!!」
けどこれではっきりした。先生…泳げないんだ…
これは今まで集めた情報の中で一番有力だろう
みんなの目が一斉に暗殺者の目に変わり、ギラリを光った
その時
「! あ、やば、バランスが……うわっぷ!!」
「ちょっ…バカ何してんだ茅野!!」
「背ぇ低いから立てねーのか!!」
「かっ、茅野さん!! このふ菓子に捕まって…」
茅野さんがプールの中で足を滑らせてからだが沈んでいく
『茅野さん!!』
助けようと動いた時、私の隣を影が通った