第22章 後日談の時間
『いつの間にか、その話はクラスだけに留まることはなく…そのトラウマの影響なのか…刃物が持てない体になってしまって。
ナイフが振れないのもそのせいです。毛穴のケアも事務所の管轄でお世話になってますし、料理も全てキッチン鋏です』
「そんな…」
「なんだよその話!!クソ胸糞悪ぃ!!」
「早稲田さんなんも悪くないじゃん!」
『ありがとうございます。
けど…ずっと怖かったんです。
あの噂は一体どこまで広がっているのか分からなかったから…
E組の皆だから…大好きなみんなだから…この話を知って欲しくなかった…』
「うう…なんでこんないい子なんじゃ、このやろー!!!」
『うわっ!』
全てを打ち明けた時、女子の皆が私にのしかかって来た
「大事にして!もっと自分大事にして!!」
「私達も早稲田さん大好きだぞ、バカヤロー!!」
「これからもE組で暗殺しようよ!!」
『ふふ…』
いい仲間…もったなぁ…
『本当に色々ご迷惑をお掛けしました』
「まあ、確かにそうだよね~」
「ちょ、カルマ君…」
私が再び謝罪すると余計なことを言ってくる赤羽さん
「だって俺らこれでも結構頑張ったくない?
ついでにはアフターケアもつけてさ」
「それはまあ確かに…」
うわあ、いやなところ突いてくるな…
『はあ、いくら欲しいんですか?』
「高いよ?」
「今度早稲田さんがやるMineのライブの席でどうだ?」
『え?全員分ですか?』
「当たり前でしょー?誰かお留守番なんて可哀そうじゃない」
『……はあ…わかりました。マネージャーに落ちあえば一クラス分ならどうにかなるでしょう…』
「「「よっしゃー!!!」」」
―――
「楽しみだねー!」
「私、初ライブ!」
ステージの影から観客を覗く。今回も満席だ
『それで、貴方はあっちに行かなくていいの?』
「うん」
私の後ろで私の様子を見つめている渚さん。これも特別許可を出した
「僕はね、遊夢ちゃんの顔が見たいんだ。
どうやってお客さんを楽しませてるのか
大好きな歌を歌って遊夢ちゃんがどんな顔をするのか」
『フッ…ならその目に焼き付けなさい。歌姫Mineの姿を』