第21章 ただいまの時間
『へ、変って思わないんですか…居心地悪くないですか?』
「?」
『私は…貴方達が気になることは何も教えていない。信頼の欠如の証じゃない…』
「…気になることは沢山あるよ。それが直接的に君を助けることにつながると思うから。
だから僕等は沢山質問すると思う。けど、結局その口は遊夢ちゃんのものだからさ。遊夢ちゃんのタイミングで話してくれればそれでいい。それが対等の関係だと思うから。
また死にたいって思ったらおいで。頼っていい人がここにいるってことだけは知っておいて」
『お互いが…図太く…ですか……
やだ、泣かせないでくださいよ』
「遊夢ちゃんこそ」
「退院祝いです」
『ってまだここにいる予定ですけどね』
その内、渚さんが先生に連絡したらしく、私の元へ黄色い先生が訪れた。先生は相変わらずのマッハでお土産のリンゴを綺麗に剥き、楊枝に刺して渡す
『この時期だと桃が旬では?』
「金欠なんですよ!桃は地味に高いんです!!」
そろそろ夏に近づく最中、部屋もだんだんと蒸し暑くなる
「さて、早稲田さんが目覚めたところで…気分はどうですか?」
『正直…いいとは言えません。色々ありすぎて…自分でも整理が追い付いていないんです。
けど、これだけは言えます。遊夢もMineも私。二人を愛してくれない人がいるなら私がその母体となる』
先生はにっこりと笑いながら頷き、器用に切られたウサギりんごを手に取った
「戻って来れたようで一安心です」
「ところで渚君」
「はい?」
三人で机を囲んでりんご会(?)なるものをしていると、先生が渚さんに話しかけた
「今後の早稲田さんの取り扱いについてですが、一週間程で退院できるそうです。
そこで君にお願いがあるのですが」
「何を?」
先生は片指上げてドヤ顔で言う
「退院までの間、彼女のケアは君がして下さい」
「「ええええええええええええ!?」」