第21章 ただいまの時間
『んん…』
その時、遊夢ちゃんが苦しそうに呻きだした
「ほらあ!カルマ君がちょっかいだすから起きちゃったじゃないですか!!」
「起きてんだからいいんだよせんせー!(汗」
「遊夢ちゃん!」
「早稲田さん起きて!!」
このチャンスを逃すまいとみんなで必死に声をかける
そのかいがあったのか、遊夢ちゃんはゆっくりとその瞼を開ける
『……ん…』
「よかったぁ…」
「目を覚ましたようですね」
「気分はどう?」
まどろんだ瞳で僕等を見渡し、自分がどこにいるのか認識すると
遊夢ちゃんはヒステリックに僕等に訴え出した
『どうして殺してくれなかったの!?』
「え」
『私はあそこで死んだ方が良かった…!!私はMineなの!!あんな、帰れば傷つけられて悲しい生活を送る遊夢とは違うの!!』
「まだそんなこと言ってんの?」
『そうじゃないといけないから!!
だって私はそう決意して、願っちゃったから!!遊夢が死んじゃえばいいって!!私が遊夢を殺したの!!!』
「!?」
『殺してよ…今すぐ私を殺してよぉッ!!!』
最終的に暴れ出してしまった遊夢ちゃんにナースコール。複数人の人に押えられ、睡眠薬を打たれてまた死んだように眠ってしまった。そんな光景を見ている僕はいい気分はしなかった
彼女はただのモルモットでしかない
「…」
シロにそう言われていいたのが悔しくて…唇を噛み締める
「恐らくその意識を植え付けたのはシロでしょう。憶測ですが、『君が死にたいと決意しなければだめだ』とでも言いつけて、若い彼女に生死の決断をさせた。
これ、意外と精神的にダメージが大きいんですよ」
「決断をさせたってことが?」
「いいえ、失敗した時にその責任を負おうとすることです」
「ますます許せない…」
茅野がそう呟いた時だった
「貴方達が遊夢さんの関係者ですね?」
一人の看護師さんが僕等に話しかけた
「ええ、そうですけど。どうかなさいました?」
「先生がお呼びですので診察室へ」
先生…ここで言うお医者さんだ。彼女に、一体何があったのだろう