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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第21章 ただいまの時間


「何これ…」
何と言われなくてもそれが何なのか、皆分かっている筈だった。ただ、それを受け入れるのが怖いだけだった

「…すまない、もう少し見させてもらうぞ」

そう言って烏丸先生は麻手袋をつけて、見える傷を確認した。手首を覆うカフスを外すと、平行な直線が幾つも。太ももやお腹には青い痣。
そして背中には…前に茅野達が言っていた大きな火傷の痕。


一通り調べ終わった烏丸先生は一息ついて僕等に告げた

「確認したが、今回の乱闘で受けた被害は触手を移植された以外は大きなものはなさそうだ。
だが、それよりも大きな傷を、彼女は元々持っていたのかもしれない…

絞殺しようとした麻縄の痕、脈を切ろうとした切り傷、誰かから乱暴に扱われたような痕跡。
彼女が死にたいと言ったのは本当なのかもしれないな…」

「そんな…」

「とにかく、病院で検査する必要がありそうだな」







「僕等は…遊夢ちゃんのことを何も知らなかった…」
「渚…」
「このことを通して分かった。僕に大丈夫?なんて声をかける資格なんてない」



「本当に大丈夫かどうかなんて本人にしか分かりませんよ。隠す癖のある彼女にそれを聞いたって意味ありません」

「殺せんせー…」

「気になるなら本人直接聞いてみたらいいじゃないですか?」



「「えっ!?」」

「いいの?聞いて?」
「だってあれだけの事…ただ事じゃないよ。話してくれるはずがない!それに早稲田さんを傷つける可能性だって…」



「勿論、真実を言うかどうかは彼女の自由ですよ。彼女もそれを分かっている筈です






ただ、知りたいと思うなら動きなさい。
結果的に彼女を傷つけることになっても、その質問の本音は”貴方を知りたいと思っています”という紛れもない素晴らしい感情なのですから」

―――





目が覚めたら言うんだ。君の事を知りたいって、もし言わなくても僕等は君のE組であり続けるって。




無造作に置かれた手を重ねる。



暖かい




遊夢ちゃんの髪は太陽の光にいつでも合う。



本当…綺麗だ…





「綺麗だよね」
「え?」
「ひつじちゃんの寝顔」


心読まれたかと思った…

「いつもこんなに静かだったら好かれるのにね。ははっ、マジで何しても起きねー」
「こらカルマ君!!」


「…(もやっ」
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