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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第20章 おかえりの時間





次の瞬間、黒い影が僕を横切った。




「カルマ君!!」

「うわっ、軟体動物の癖して固っいなあ…」


殺せんせーを攻撃しようとしていた一撃はカルマ君のナイフでせき止められた。地面に杭のように刺さり、触手は抵抗できない


「何ぼさっとしてんのせんせー。俺の作った隙無駄にしないでよね」



「…!



流石です二人とも」






そう言って先生は彼女の背後を取り、首筋から伸びる触手をぷつりと抜き取った




「皆さん触手から離れて下さい!!」





突然の指示に戸惑ったが、いつもの厳しい訓練のおかげか、自然と体は動いた
















ドカアアアアン!!












触手は自爆した。その機能はまだ残ったままだったんだ…




爆発した地下空間には、がれきの落ちる音と砂埃しか見えなかった。

それが段々晴れてくると、黄色い丸い部分が見えてくる。先生はステージの隅で項垂れている




「殺せんせー!!」



姿を確認すると僕は一目散に駆け出した。少しづつ近づいてくると、全貌が見えてきた。どうやら間一髪彼女を抱えて回避したようだ




「ふう…何とか体は爆破の傷つかずに済みましたかね…」

「殺せんせー遊夢ちゃんは!?」



決死の想いで聞いた僕に先生はにこりと笑って彼女の顔を見せてくれた



「大丈夫です。今は気絶していますが、これでもう触手に殺されることはないでしょう」




得体のしれない”彼女”はもう遊夢ちゃんに戻っていた。眠る顔から垣間見えるあどけなさ。

僕等が知っている遊夢ちゃんだ。

そっと手を握ると、とく、とくと落ち着いた心臓の音が聞こえて生きていることが夢ではないことを実感する




「よかった……
よかった…よかった、よかった…」





君は知らないでしょう?君がいなくなってから僕がどれほど不安になったか、胸が張り裂ける思いで君を追い続けたか。抱きしめられて、静かに規則正しく呼吸を繰り返してる君にはそんなこと知る由もない。















けどね、もういいんだ。
君が僕等のところに戻ってきてくれたなら…






















「おかえり。遊夢ちゃん…」
今は何も届かない彼女に僕は微笑みを浮かべて声をかけた
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