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私が嫌いな私なんて〇したっていいじゃないか

第20章 おかえりの時間


僕が恐る恐る聞いた言葉はあっけなく絶望へと突き落とされた。





「ほ、ほんとに言えないの!?僕の名前…」

『わわわ、無理なものは無理なのー』











覚えていない…?僕等の事を?じゃあ、僕等の思い出は?僕の想いは?どうなるの?







だが、僕の名前を呼ぶことができないことが現実だという証拠には確実過ぎて…



僕はもう既に精神的に限界を迎えて崩れ落ちそうになる足を必死でこらえた






『でもー、初対面でいきなり名前も聞かずに話を進めるのは失礼だったね…

君の名前は?』





「――――――




………………渚………………」


泣きたくなるのを堪え、か細い声で質問に答える





『渚…渚君か。いい名前だね!』





遊夢ちゃんの笑顔にもう一度目を見開く。


「ヒュッ…」







いや、もう。もはや彼女が遊夢ちゃんなのかもわからない







遊夢ちゃんはそんなふうに笑わなかった。君付けもしなかった。初めて僕の名前を聞いてそんなテンプレートのような言葉をかけなかった






―――
『渚……髪色が水色だからそんな名前を付けたんでしょうか?』

「あはは、そんな安直ではないと思うけど」

―――





『渚君、苦しい顔してる。辛いんだねぇ…』


彼女は憐れみの顔で僕の頬を撫でる

『大丈夫。私が笑顔にしてあげる。それが私の求める理想郷だから。ねえ、何でもあげる。何でもしてあげる。君は何が欲しい?














だってみんなの笑顔は私のものだから』




















パシッ








『…!?』

「まだ気づかないの?遊夢ちゃん




僕等は君にそんなこと何も望んでない、嬉しくない!!!!




僕等の欲しい物は一つだけ。戻ってきてよ!!
君の机はずっとあそこにあるんだから!」








































『あー………何?






そういう感じ?』




彼女がまた瞬く間にステージに戻ると、その言葉を…

拍子抜けしたような…諦めたような声で言った


『つまりこういうこと?
君たちは私の招待に喜んで来た訳じゃなくて…

ワタシヲトメニキタッテワケ?』
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