第19章 モザイクの時間
「どういうことだよ!?二度とこないかもしれないって!!
どこかに連れていかれたのか!?」
「お、おおおおお落ち着いて下さい!最悪の場合の話ですから。ね?うん、まだそうと決まった訳では…」
「「「「なんでお前が焦ってんだよ!」」」」
「先生…どうして遊夢ちゃんは…
知っている限りでいいからちゃんと説明してよ…」
「…ふう、昨日彼女と話したのですが…
―――
『先生、私暫く長期休暇をもらいます』
「え?」
『もう…ここにいてはいけないような気がして…
これ以上いればきっと、だから』
「意味が分かりません…貴方の居場所はちゃんとここにあります。誰もそれを侵害してこない」
『だからこそです。ここは私の居場所であり、みんなの居場所。私は他の人の居場所を侵害したくないんです!』
「…!」
『もしかしたら…私が戻ってくる頃には先生は亡くなっているかもしれませんね…
ですからこれだけ言っておきます。
さようなら』
―――
それだけ言い放つと、ナイフを返して去って行ってしまったんです…結局理由なんて聞きだす暇はありませんでした」
「ナイフ…早稲田さんが唯一持てなかった武器…」
「そんな…」
「それで…今どこにいるんだ?」
「先生も分かりません…嫌な予感がしてならないのですが…」
いつからだろう…こんなに人生がちっぽけだと思うようになったのは…
「薄い」(バシャッ
『………ご、ごめんなさい、味噌…少なかったかな…?』
「…」
『ま、待ってて下さい…今、塩を足して入れ直します…』
いつからだろう。このことは…みんなに知られてはならないと決めつけるようになったのは…
「あ?Eに落ちた?」
『は、はい…私なりに頑張ったつもりなのですが…
ッ…ちょっ…痛い!』
「どうしてくれるんだよ!!お前まで落ちぶれたならこの家マジで底辺になるだろ!!
父親の俺に泥を塗るつもりか!?あ!?」
『や、やめて…』
「お前に拒否権なんかねえんだよ!!!」
『あ”あ”、ああああああああああああああああああ!!!
熱い
熱い
熱い
熱い
熱い』
皆と、私の間には常にどこか壁があった