第18章 怒りの銃口と刃の時間
「『できない』じゃない。『やる』んだよ」
そのまま前原さんを地面に荒々しく投げる。
「言ったろ? 俺達は『家族』で俺は『父親』だ。
世の中に…父親の命令を聞かない家族がどこにいる?」
それ見たことか…自分のことを父親と名乗る人なんてろくな奴しかいない
「さぁ、まずはスクワット100回×3セットだ
抜けたい奴は抜けてもいいぞ。その時は俺の権限で新しい生徒を補充する。俺が手塩にかけて育てた屈強な兵士は何人もいる。1人や2人入れ替わってもあのタコは逃げ出すまい」
おぞましい空気にみんなが息を呑む
「けどな、俺はそういう事したくないんだ。おまえら大事な家族なんだから。父親としてひとりでも欠けて欲しくない!」
ぷらぷらと皆の後ろや前を歩き、洗脳のように呼び掛ける。
「家族みんなで地球の危機を救おうぜ!! なっ?」
ガシッと三村さんと神崎さんを抱え込む。
「な? おまえは父ちゃんについてきてくれるよな?」
そう言われた神崎さんの足はガクガクと震えている。
「…は、はい。あの…私……」
こわばりながらも彼女は自分の意思を言った
「私は嫌です。烏間先生の授業を希望します」
奴は彼女にでさえ手を出そうとした…
けど、ごめんみんな…私、個人的にこいつが許せない
私はスライディングをし、鷹岡の足を払った。パンチも足を踏ん張っていなければ大した威力は出ない
「きゃっ!」
見たところ神崎さんは軽傷で済みそうだ。
「お前…」
足を一瞬がくつかせた鷹岡は凄い形相で私を睨む
『あら、家族という割には名前は憶えて下さらないんですね。
結局その程度なんですよ。「家族」や「親」なんて言葉は…ただの呪いでしかない…
これ以上危害を加えるのは辞めて下さい。さもなければ…』
私は携帯を取り出す。
『先ほどの映像を警察に突き出します。防衛省の方なら暴行罪という名前は知っている筈ですよね?』
鷹岡は表情を変えずに私を見下ろす。私も負けじと目を反らさない。それがきっと負けの合図だから
「やめろ鷹岡!」
烏間先生の声が聞こえた。
「大丈夫か? 首の筋に痛みは無いか……」
「はい、早稲田さんがなんとかしてくれて…」
「前原君は?」
「へ……へーきっス」