第18章 怒りの銃口と刃の時間
「遊夢ちゃん!」
たそがれていた時、駆け寄って来たのは渚さん
『渚さん…』
「さっき…大丈夫だった?」
『ええ、やっぱり腹痛でした』
「……………ホントのホントに大丈夫?」
『…柄にないしつこさですね。何かあったんです?』
「あ、や…ごめん」
ほら、そういう所だ。差し出された手を振り払おうとする。
寧ろこんな人間、嫌われるぐらいが丁度いいのかもしれない。
「…よーし、みんな集まったな! では今日から新しい体育を始めよう! ちょっと厳しくなると思うが…終わったらまたウマいモン食わしてやるからな!」
「そんな事言って自分が食いたいだけじゃないの?」
「まーな、おかげでこの横幅だ」
そして翌日の体育の授業。ここでも空気は軽く、みんなの心を掴んでいる
「あと気合い入れのかけ声も決めようぜ、俺が『1.2.3』と言ったらおまえら皆でピース作って『ビクトリー!!』だ」
「うわ、パクリだし古いぞそれ」
「やかましい!! パクリじゃなくてオマージュだ!!」
みんなから笑いが漏れる。私は相変わらず黒い気持ちを持っていたが、色々な意味で怪しまれるので愛想笑いをしておく
「さて! 訓練内容の一新に伴ってE組の時間割も変更になった。これを皆に回してくれ」
「……? 時間割?」
渡された紙、そして奴の表情。それを見て、みんなはようやくいかれていることに気が付く
「……うそ…でしょ?」
「10時間目…」
「夜9時まで…訓練…?」
『自衛隊のスケジュールと間違えてません?』
「このぐらいは当然さ。理事長にも話して承諾してもらった。『地球の危機ならしょうがない』と言ってたぜ。この時間割についてこれればおまえらの能力は飛躍的に上がる。では早速…」
「ちょっ…待ってくれよ無理だぜこんなの!!」
焦って反論したのは前原さん
「ん?」
「勉強の時間これだけじゃ成績落ちるよ! 理事長もわかってて承諾してんだ!! 遊ぶ時間もねーし!! できるわけねーよこんなの!!」
しかし、言葉は途切れた。奴は容赦なく前原さんの顔をガッと掴み、腹に拳を入れた
「がはっ…」